人格障害は「一時期の状態」の診断であり、一定の診断基準の分類表に当てはまるものが人格障害と呼ばれることになる。その診断には、それまでどう生きてきたかも関係なく、どんな環境で生育してきたかも関係ない。
私はクリニックに勤務して、問題のある行動パターンを持った人々の、遺伝的な背景である家系図から、幼少期からの成育歴や、親との関係について詳細に事実関係を聞いてみることを続けている。
その中から分かってきたのが、一断面として人格障害のパターンを持った人の多くが生育歴を見ると発達障害であったということだった。極端には実は私の相談に乗っている外来のケースの中で、人格障害やACとして分類される人のほとんどがアスペルガーかADHDのACであった。
形式的にはこの二つの診断名は両立可能である。診断上は「アスペルガー症候群であり境界例である」ということになる。
私の関心は常に治療であるので、診断名も治療に役に立つかどうかで考える。その観点から言えば、「人格障害という診断名は役に立たない」「発達障害のほうから治療などのケアを考えたほうが役に立つ」ということになる。だから両方ある人は、発達障害の診断とコーチングなどのケアを中心に行い、その結果として二次障害である境界例様の行動パターンは改善可能となる。
診断は疑わないとできない。人格障害の表面的な特徴だけでなく、発達障害を考えてみるかどうかが重要だ。
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人格障害、発達障害者の子供への遺伝の可能性についてご相談したくメールいたします。
3年ほど前から妻の反社会的行動により、措置入院となり主治医から人格障害、発達障害の疑いありとの診断を受けました。私には妻との間に4歳の娘がおり、今は児童相談所の施設にいますが、子供に遺伝する病気なのかどうか知りたいのですが、文献など調べていますがわかりません。もしご存知でしたらご教示いただきたくお願いします。