ACとは

ACとは

 「AC」とは、アダルトチルドレンの略で、

親が本来の子供をサポートする機能を果たせなかった家庭で育ったことから、

大人になっても自己評価が低く

周囲からの評価(態度や表情など非言語的なものに特に)に左右されて極端に不安になる、という状態のことを言う。

 

その結果「表面的にはしっかり者だが、誰にも弱味を見せられず、特に近い相手には一転して依存的となったり、自分からぶち切ってしまったりして人間関係が長続きしない」、

自分の問題と人の問題の区別がつけられない

という認知と行動の歪んだパターンを帰結する。また痛みや味覚などの知覚が抑えられ、身体感覚全体が実感に乏しくなることが多い。

ACの家庭の特徴は「本当のことを言えない」ことで、恐怖の中で言葉には出さず表情や雰囲気で状況を察して行動することが多くなり、大事なことをはっきり言語化することに大きな不安を感じるようになる。

 

上記の(「消えたい」という)極度の不安から逃れるため、アルコールや薬物、仕事、他者へ尽くす行動、食べ吐きなどの摂食行動、時には自傷などへの依存となることが多く、表面上は依存症がメインであることも多い。他者の「お世話」を懸命にする状況は一見利他的であるが、実際は自分の不安を紛らすはけ口を他者に求めているだけで、「共依存」となり、本当の意味では相手のためにならないことも多い。

 

ACの本質は、「周囲からの情報の、自分を評価する部分だけを過大に受け取ってしまう」という認知のゆがみであり、カウンセリングで認知を修正することで完全に回復が可能である。依存行動は別に治療が必要だが、根本となるACの不安が減少すれば治療はずっとたやすくなる。

 

大きく分けて、親からペットのように一見愛されているように見えて実は支配」されながら育ったケースを「お人形型AC」、逆に暴力的、心理的、ネグレクトなどの虐待によるケースを「虐待型AC」と分類できる。またADHDなどの発達障害を背景にしたACも多い。

典型的には「アルコール依存症の父親が母親に暴力を振るうような家庭で、母親が精神的に不安定な中で幼少期を過ごした長女」によくみられ、母親の相談役であったり、母親をサポートしたり母親に代わって父親の依存症に対応したりする等、親子が逆転した状態がその後も遷延して出来上がる。

 

 上記の激しい不安は人格障害の「見捨てられ不安」とほぼ同一のもので、診断基準上は自殺企図や周囲を振り回す他社への依存などの激しい行動化を伴うものは「境界例」と診断される。

 

 以上のような様々な特徴があるが、「他者からの評価に過剰反応する認知のゆがみ」「自分の問題と人の問題の区別ができなくなる」を本体とする認知障害であることが治療上重要なポイントである。


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