私自身も見逃していたケースがいくつかあったが、強迫性障害という診断の人に実際はアスペルガー症候群(以下AS)であった人が何人か居られた。
一つのケースは、思春期からの入浴に時間がかかるという不潔強迫の症状で、ある県立病院で厳しい行動療法を行い、退院時には一時症状はよくなったがすぐに再発し、その後本人が「大人のいじめに遭った」「元主治医を訴えたい」と言い続ける経過になっている。
ADHDにも強迫症状はあるが、私の臨床経験では、ASやADHD等の発達障害の強迫症状に行動療法は効かない。
SSRIや時にはジプレキサ等の抗精神病薬は有効だが、本当の治療は発達障害を診断して、その発達障害ならではのストレスを理解し、現実的に解決するコーチングを行なうことだ。
発達障害を合併しない強迫性障害との鑑別は、偏食や服装などの生活上のこだわりの有無、症状の不合理さを自覚しにくい点、またストレスにより強迫症状の重症度が大きく変動する点などがポイントだ。
私自身もそうだが、「疑わないと診断できない」ところが難しいところだ。
http://www7.ocn.ne.jp/~k-goto/as.htm
こんばんわ。
いつも拝見させて頂いて居ります。
食事の好き嫌いは多いのですが、ただ、食べれない事はないとは思うのですが、口にした時の触感で食べれない物が沢山あります。それもASと関係があるのでしょうか?
m・y様
私はこれまで30名以上のいろいろな世代のASの方から話を聞いてきました。そのほとんどに感触を理由にする偏食がありました。そのほかに、白黒中心の地味で一様な服装の好み(女の子はスカート嫌い)や、シャンプーや歯磨きなどの直接体に触れるものに関するこだわりが多く、一種の「過敏性」や、「自己身体イメージ」に関係するのだろうと想像しています。
YANBARU
早速のお返事ありがとうございます。
先生が書いていることが今の自分そのままです。
白は着ませんが、上下、黒一色です。他の色を選んでも、モスグリーンぐらいです。どちらかと言うと、男っぽい格好(買う服が男物ばかり)です。
シャンプー、歯磨き粉、タオルなどは小さい頃から自分専用の物でないと使えません。ほかの者が使ったのが、分かると買いなおししています(今もです)。自分のは人に使われないように隠してしまいます。直接触れるもの全てが個人専用にしているので、人が使った食器も使えませんし洗えません。洗濯物も全部、別々に洗濯しています(洗濯機に入れるのも素手では持ちません)。
食事も一緒に食べないので、良く言われます(昔から)。
娘が小学校3年生の時から、強迫性障害になり、「不潔恐怖」や「確認不安」の症状がありました。
そのため、小児精神科のあるクリニックに通っていました。
そこの受付に神田橋條治先生の著書がおいてあったので、パラパラとめくってみたら、「強迫症状を見たらアスペルガーを疑え」のフレーズがありました。
その少し前にYANBARU先生のブログでこの言葉を見ていたので、なるほどこれだったのかと納得しました。
娘とASの関係がはっきりしてきたのは、この言葉がきっかけだったかもしれません。
その後、さまざまな治療を行った結果、強迫症状は大変弱くなり、日常生活に支障がなくなったので、ホッとしています。
私の弟は今思うと、やはりASっぽいタイプですが、その弟が選んだお嫁さんが結婚後に同じ「強迫性障害」を発症しました。
似た者同士が結婚するものだと改めて思いました。
我が家と強迫性障害はかなり身近な関係にあります。