人格障害と診断されたら① -- 周囲の関係者は尻拭いをやめる
前回までに「人格障害と呼ぶ前に①~⑨」のすべての検討がなされ、発達障害も除外され、またACとしての治療への導入もうまく行かなかった場合、最終的に「人格障害」と呼ぶことになる(と私は考える)。本人を治療に引っ張り込む試みが無効に終わった後なので、ここから先は、家族への対応の具体的な指導という形になる。
さて家族の対応の基本方針は、「本人に治す必要を自覚してもらう」ことである。御家族からの相談の場合、ほとんどは「本人は困っていないが、家族だけが困っている」という状況になっている。だからまず「環境を調整して、自分の行動パターンによって自分が困る状況を作る」というのが本人を治すために必要なことだ。
具体的には「尻拭いをやめる」ということから出発する。例えば、一定金額を渡してアパートに自立させ、「それ以上の金銭は一切出さない」、「脅せば警察に対応してもらう」という態度を全関係者に徹底させる。「自分の行動の責任は自分で取るしかない」ということを徹底して分かってもらうことが大事である。
私が御家族の相談に乗っているケースで、実際留置場まで行って、そこでの出会いから自分で変わろうと努力が始まったケースもある。表面上の同情はかえって本人の回復を妨げることになるので、周囲のAC(アダルトチルドレン)は完全に排除して関われないようにすることも重要だ。
この厳しい対応に対して、本人からの激しい反応は必至だ。ギリギリの脅しが来ることは始めから計算して、親も耐えなくてはならない。(親がこういう厳しい対応から逃げ続けてきたことが人格障害の背景になっていることが実際多い)
緊急の入院先や、安否確認の最低限のライン(食料品の現物支給など)を確保しておいて、関係者が対応を統一して、あらかじめ決めたある時から「自業自得の直面化」に入る。
http://www7.ocn.ne.jp/~k-goto/
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