私は沖縄県発達障害者支援センター(旧法人)で平成19年12月から月に一回嘱託医として 「医療相談」に乗ってきた。
平成21年3月に旧法人が突然委託を返上した時には、ある施設と 一緒にセンターの委託を受ける方に手を上げたが、県の重点方針とは違う方向性で、委託は 受けられなかった。
平成21年4月に新しい支援センターを現法人が受けたが、当時は大学病院も含めて県内に 成人発達障害を診てくれる医療機関が本当に見つからず、実際上私の勤務するクリニックはじめ2、3機関 ほどしかないような状況で、その私も予約がいっぱいで新患を制限する事態であったため、無理やり 私がセンター長に泣きついて嘱託医にしていただくようお願いした。
暴力もあり大変なケースをセンターのPSWがたくさんの医療機関に当たってやっとケアしてくれる 病院を見つけたケースも実際あった。
現法人はもともと子供の施設であったため、成人のニーズが非常に多いこと、ケアできる医療機関も 少ないことを訴えてお願いして「押しかけ」のような形で嘱託医にしてもらった。
そうこうしているうちに、私はクリニックから戦力外通告となり、沖縄県では辺境の地に移った。
新しい勤務先では短時間の診察しか出来ないため、何とかネット相談を併用して成人発達障害ケアを 継続する体制をその後やっとのことで作りつつあるが、その間に県内の事情も良い方向に変わり、 初診でも発達障害の診断希望に応じてくれる精神科の救急医療機関も出てきたということで、結局 未診断のケースは支援センターで受けてもその医療機関などいくつかの医療機関に「そのままつなぐ」形となり、支援センターの医療相談は実際上不要となった。
また、支援センター自体は市町村を中心とした相談窓口の「後方支援」に回るとのことで、 実際立派な実績やキャリアのあるスタッフを増員して体制がさらに強化されている。
この意味でも 県の方針と支援センターの取り組みは実に本格的で、昨年までのように「家内工業的に私がスタッフと 一緒にやって行く」感じでは全く無くなった。
本日この話を聞いて、私自身は個人的にはこれまで支援センターでの相談にかなりのエネルギーを 割き、全仕事の中での優先順位もかなり高く考えてきたこともあり、「さびしい」という感情はある。
しかし、初診でも診断希望で成人発達障害を診てくれる医療機関が登場したのは非常に喜ばしい ことであり、実際上「沖縄県内の成人発達障害全体を私が何とかしなければ行けない」ような感じで 抱え込んでいたのが不要となったことはほっとすることでもある。
私自身の反省点としては、結局「成人発達障害ケアの裾野を広げる」という本当に必要なことへの 努力はほとんど出来ず、昨年年頭に目標とした学会発表なども結局出来ないまま
で来ていることだ。
結局私のしているケアはきちんとした学問的な根拠を持たない「我流のケア」でしか無く、きちんと 教育を受けた本当のプロの人がいれば何も役に立たない。「分野としてたまたま誰も手をつけて来なかった からこんな我流でも一時的に支援センターに関われた」というのが実際の真相であったと思う。
YANBARU先生の頑張りが事態の好転に繋がった、ということではないでしょうか?
YANBARU先生が忙殺状態で活躍したから、強力な体制を作ることが必要だと判断された結果なのではと想像しています。
先生自身が目標を達成しなくとも、現状が良い方向に進んでいのでOKなのではと思います。
”きちんと教育を受けた本当のプロ”といっても現状ではどの程度のものなのか?
我流といえどもたくさんの患者を診察して情報を積み重ね考察してきた結果で成果をあげて来たのですから、それは素晴らしいことだと思います。常に需要に合わせた人材が供給されるわけではないのですから、現場の医師が開拓しつつ対応するのは重要な役目と思います。