自己コーチングガイド各論② ADHDの自己理解そのE (時間認知)
E.ADHDの場当たり的な時間認知の特徴を理解する。
多数派は、時間の流れを未来と過去へ数分、数時間、数日、数週、数ヶ月、数年と、いろいろな尺度を自由に使い分けながら想起することが出来る。またこれらをカレンダー状に頭の中に配置して、あたかも長期間の詳細な予定表が取り出せるような形で記憶する(量的には限られているが)ことが出来る。それに基づき、期限の時間に間に合うように、「前々から準備して計算して間に合わせる」こともさしたるストレス無く実行できる。
これに対しADHDは、「現在」から見て前後数日、極端には「今日と昨日と明日しかない」時間認識を特徴とする。「明後日以降」、「一昨日以前」はイメージの彼方でかすんでおり、「現在」からの時間的隔たりを直感できない。また、例えば数年や数ヶ月をイメージできたとしても、それと「現在から見た昨日と明日」を結び付けられず、カレンダー的な時間イメージ自体が想起しづらい。
あなたの生活で上記の説明に当てはまることがありますか? 具体的に書き出してみましょう。
この困難さを克服する方法は、要は、「今日と昨日と明日のことだけ考えても大きな損害が生じないような現実の生活の工夫をする」ということである。具体的には「頭の外に記録する」という方法を体得することと、「長期の計画を立てる必要があるときは何らかのサポートを利用する」ということである。
数日以上かかる計画などは、誰か秘書のような人か家族などのサポートのもとに立案し、一ヶ月以上前から特定のカレンダーなどにこと細かく記録しておく。そのカレンダーを見ながら、カレンダー状に書かれた今日と昨日と明日の項目を実行していく。パソコンのプログラムの利用は有効である。
「数日先などの約束は初めからしない」ことにして、約束の連絡や相談などは電話は避けてできるだけ記録に残るメールにしてもらう。(私は直前に連絡をもらうように最初から相手にお願いしている)
「計画が不得手であり、前日になるまでは忘れる」ことをはじめから周囲の人に理解してもらうことも大事である。
上に書き入れたあなたの困難さに対して、上記の工夫を具体的に考えてみて書き入れてみましょう。
こんにちは。仕事にはまり、数日ROMとなっておりました。
コーチングガイド、大変興味深く読んでおります。
「注意集中」のところにコメントしようかと思いましたが、ここで「秘書のような人」が登場したのでこちらに書き込みます。
「秘書のような人」、わたしは「リマインダー」と呼んでいます。要するに、几帳面な人(または親切な人)に「お目付け役」になってもらうのです。「あれはどこまで進んでいますか?」「締め切りは明日ですよ」とか。
で、お目付け役の人につっこまれたら、その時点でほかの仕事を放棄して指摘された仕事を集中してこなします。ADHDの過集中(わたしの場合、どれほど騒がしい場所にいてもまったく何も聞こえなくなり、対象に集中します)を持ってすれば仕事をやっつけることはそれほど難しくない。つまり、毎日が「夏休み最後の日の小学生」です。
逆に、お目付け役のいない仕事については、先延ばし傾向がはなはだしく、悲惨な結末を迎えてしまったことも一度や二度ではありません(論文が提出できなくて留年したりとか…)。
周り(多数派の方々)は、こんなやり方は見ていてハラハラするようですが、自分は逆にこれしかできないのです。心配する人には、「迷惑はかけないはずだから、結果を見て判断して」と言っています。まあ、通用するときもしないときもありますが…。
問題は、リマインダーとなってくれる人をいろいろな場でいかに見つけるか、ということですね。「状況理解」についてのエントリで、『通常は「天然ボケ」というイメージを持ってもらうように行動し』というYANBARU先生の表現がありましたが、そのように意識的に振舞うことで、「ヘンだけど憎めない人、どうやらやればできるらしい人」というイメージを周囲に持ってもらい、積極的にサポートを受けられるように持っていく、というのはアリだと思います。ADHDのAC、をだいぶ抜け出してただのADHDとなった今、こちらに悪気がなければ「理解」してくれる人もいる、と思えるようになりました。
小学校1年の時の初めての夏休みの宿題の時ですが、夏休み最後の日に、ほとんどできていなかった書き方帳1冊を、一晩で仕上げた思い出があります。
遅くまで起きていたので、親は、「もういいから、早く寝なさい」と何度も言っていたのですが、聞かずに仕上げました。
予定を立て、前もって、コツコツとするというのは、苦手ですが、締め切りを守ると言うことに関しては、小さな頃から、守りたいという強い意識があったように思います。
家にも、職場にも、1ヶ月単位で1ページとなり、毎日の予定が書き込める小さなカレンダーを、自分の机の目につくところに置いて、約束や締め切りのあるものが入ったら、必ずそれを使用しています。
また、約束を入れる時も、そのカレンダーを見ながら入れています。
そして、締め切りのあるものについては、締切日から逆算して、取り掛かるべき予定をカレンダーを見ながら組み立て、書いておきます。
カレンダーとは、別に、メモに書いて、机の上やカバン、目覚まし時計の側に置いたりして、その日にするべきことを忘れないようにする場合もあります。
自分は、交友関係が非常に少なく、また、職場でも外部の人と約束して会ったりすることは、少ないので、何とかこの方法でできているのかもしれません。
コメントありがとうございます。
いずみん様
「リマインダー」というのはうまい呼び方ですね。「覚えてくれている人」という意味で、ADHDにはありがたい存在です。正直に「ごめんなさい」と言い続けていれば、嫌われることは少ないので、気軽に「助けてください」と言ってしまいましょう。
ミリ様
あなたは小さい頃からこの手の「自己管理」は努力してコントロールできるようになっているということだと思います。ACが強かった人の場合には、逆に、「(私の偏屈物宣言の意味で)少し偏屈風に目標を下げる」ということになるかも知れません。
コメントありがとうございました。
私は買ってきたカレンダーって結局使えなくて自分で作ってました。そこからじゃないと頭に入っていかない。手から頭に入るというか。やることはまず書かないとやれないというか。視覚的には自分で作り出さないと存在感がないというか。職場で同じように手書きでカレンダー作ってる子がいて、同じだと思ってうれしかった。