AC、人格障害関連

ファンタジーと楽観主義

 以前にも少し触れたと思うが、ジャイアンには良く言えば特有の「前向きさ」がある。逆境にあっても生き抜く生命力を持ち、実際「どんなことをしてでも生き抜く」根性がある人が多い。

 これはあくまでも「良く言えば」であって、実情は「異常な楽観主義」とも言うべきものである。 これもまたファンタジーのなせるわざだ。
 治療者としての私自身の場合で言えば、「一番良くなった経過のことから考える」ということになり、 「良くならなかった場合のことは考えないのか?」と突っ込まれて考え込んだことがある。

 私は一番最初の赴任地である福岡県立太宰府病院(センターになる前)の時から重症・難治性の ケースばかり担当してきた。3つくらいの病院でいろいろな治療を試みられて良くなっていない 重症のケースばかりに最初から取り組んで来た。
 その悪戦苦闘の中から全ケースオーダーメイド で「本人の治療意欲を最大限に活用する」という今の治療スタイルにたどり着いてきた。

 その中でも、「人格障害」というおよそ一番良くなりそうに無いケースに取り組み、結果としては ADHD的な「本当のことを言う」というケアが非常に有効であるということを発見して、心理士たちと カウンセリングの手法を研究してきた。
 冷静に考えれば、「良くなる前提で考える」というのは誇大的も良いところで、自分に治せない ケースを想定していないことはプロとしてもとんでもない欠陥とも言うべきである。

 そういう意味では最近は「自分には出来ません」ということが多くなってきているように思う。特に依存的になった場合は実際に回復が困難になるので、早々に「私には治せません」と言ったほうがケア上も望ましいと私は考えている。

 いずれにしても、非常に困難な状況にあって、それでも「何とかなる」と想定し続けるジャイアンのファンタジーは、うまく行った場合には「不屈の前向きさ」ということになるが、一つ間違えば、「懲りずに悪事を止めない」ことにもなり、また依存型ジャイアンのように超場当たり的になると「ギャンブルで勝ったときしか想定しない」、「月末に金策をすれば何とかなると考えて浪費する」という異常な「現実をなめている」発想にもつながる。

 どちらに向かっても、ファンタジーはジャイアン独特のやむなき現世へのエネルギー、根性の源となるのだ。


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コメント

    • げそ
    • 2010年 9月 17日

    >その悪戦苦闘の中から全ケースオーダーメイド で「本人の治療意欲を最大限に活用する」という今の治療スタイルにたどり着いてきた。
    >冷静に考えれば、「良くなる前提で考える」というのは誇大的も良いところで、自分に治せない ケースを想定していないことはプロとしてもとんでもない欠陥とも言うべきである。
    やんばる先生がたどり着いてきた治療スタイルは、実は極めて現実的でそれ以外の方法はなかなか無いような気がします。子ども虐待関連や社会福祉やビジネスと現在日本でも多方面で注目されてきている(ような気がする)のに、医療業界ではまったく無名の「ソリューション・フォーカスト・アプローチ」に通ずるものがあると感じています。
    以下ご参考になりましたら幸いです。
    教科書:http://www.amazon.co.jp/解決のための面接技法―ソリューション・フォーカスト・アプローチの手引き-ピーター-ディヤング/dp/4772410392/ref=pd_sim_b_3
    研修会:http://www.jaswhs.or.jp/training/information_detail.php?@DB_ID@=58
    ビジネス:http://www.solutionfocus.jp/history.html

    • 182
    • 2014年 2月 21日

    最新記事「受動型ASDの経過」にコメントを投稿した後で、「何か違う…」と思い、過去記事検索してここに辿り着きました。
    「懲りずに悪事を止めない」異常な「現実をなめている」発想、ジャイアンのファンタジーって事でした。
    またそれを「運の引きが強い」などと言ってるもんだから、なおさら救い様の無いファンタジーの住人なんですね。
    身近な人ほど私を蔑む理由が分かりました。

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