ADHD関連

ジャイアンの直面化

 私は精神科医として、ずっと「直面化」をテーマにしてきたといっても良いと思う。本当のことに直面できないばっかりに人生の一回休みを続けている人に、辛い本当のことを乗り越えていく道を見出すサポートを考え続けてきた。

 だからASとジャイアンは私の専門領域ということになる。一番直面化が難しい人たちに、どうやって不利なことに直面できるようにするか、非常に困難であるが、可能性はないことはない。

 そういう意味ではむやみに「本当のことを言え」と言ってきたのは少々無責任だったかもしれない。私も治療の中で「いつもその場で」そのまま直面化させているわけではないからだ。

 基本的には本当以外のことは言わない。が、「本当のことを言うタイミング」を考え、「直面化の時期ではないので今は本当のことについては触れない」ということは考える。

 しかし実際に私の治療を受けている人は、ズバリ言われる覚悟をしている人が多いと思う。どうしても直面化したくない人は「薬の相談だけしたい」とか「心理士だけと話したい」と言ったり、根本的に治療から離れることはしないで、私と会うことを避けようとしたりする。

 こういう場合私は気長に待つことにしている。本人が直面化する用意ができたら私に会うことをい自分で選ぶので、家族と相談しながら本人の環境面でサポートする感じで本人の準備が出来るのを待つ。

 ジャイアンの直面化はプロとして治療を成功させようとすると、それくらい微妙な問題となる。

 プロでない家族が接するときの対応は少し考えてからマニュアル的にまとめたいと思うが、「対応する家族の本人が嘘と感じるまで話を合わせるのは良くない」というくらいのことは最低言えると思う。なぜなら合わせている家族のストレスは最終的に本人に必ず何らかの(マイナスの)形で戻ってくるからだ。

 そういう意味では当面私の「本当のことを言う」という言葉は「明らかな嘘は言わない」というくらいに受け取っておいて欲しい。


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コメント

    • mario (AS)
    • 2007年 12月 10日

    >「明らかな嘘は言わない」
    分かりました。そもそも、明らかな嘘はどうしても言えない性質なので、私にとっては即ち「特に何も指摘しない」ですね。
    解説、ありがとうございました。基本放置して、対応マニュアルを待ちたいと思います。

    • たかこ
    • 2007年 12月 11日

    私の親は、障害だからといって理解しなきゃ仕方ないけど、いわゆるほんとうのこと、こういわれると悲しいとか、いやだとか、感情は伝えるべきだといっていました。がわたしはそれをしない時期がありました。
     はっきりいうのは本人の自覚のためもあるけれど、私自身の精神衛生上支障があるほどごまかすというかものわかりがよすぎる対応は、結局本人に返ってしまい、結果的にマイナスであることほんとうによくわかりました。
     非を認められない自我の性質を理解しつつ、親からもらったものだから自分の責任ではないけれど、もらった部分は悪い性質ばかりではなく、いい部分もたくさんもらっている訳だから、それを悪い部分ばかりを荒探しして人生のいい訳にしてもそれは切りがないし、何のプラスにはならないことを私自身の生き方をもって伝え続けてきました。生まれ持った物でなくても、やむ終えず適切な環境で育てられなかった人も沢山いるし、たとえば両親が早くになくなりましたなどと名札をつけて歩く訳ではないので、社会に出たらあとは自分で補っていかなくてはいけない部分がほとんどなのでいでしょうか。
    どうしても困難な部分は、支援が必要ですが、基本的に、生きていく上では、どんな事情や理由があってもやっていけないことはやっていけないし、やらなきゃならないことでやらなくてよくなる事はないのではないかと思っています。
     ある突発的なトラブルによってあっけなくASの主人の人生のいい訳を直面化する事になりました。ジャイアンである母親からの遺伝であることを彼なりにすべて壊れないよう防御網としているようですが、タイミングとしては本人の希望というか準備ができて受動的になされたことなので、タイミングとしては間違っていなかったと思います。
     一方ジャイアンの母親は、遠回しに非を指摘されただけで、わたしから雲隠れしてしまいました。充分あなたの弱さは理解しているので責める事はする気はないのですが。
     マニュアル心待ちにしています。

    • エイト
    • 2007年 12月 12日

      YANBARU先生 
     ジャイアンって複雑なのですね。
     私は自己診断でADHDのACです。そして最近まで子供たちに対してジャイアンだったことを認めます。
      ジャイアン(子)はジャイアン(親)のまねをする:全くそのとうりの行動=息子が学校でジャイアン化 してしまい、私がジャイアンであったことを自覚するとともに大反省しました。
     ジャイアンはその人のレベルで大ダメージを受けるような出来事が起きた時、はじめて自覚するのだと思います。
     息子本人はまだジャイアンを自覚していないと思います。しかし最近彼が訴える体調不良はどうやらYANBARU先生が指摘するところのジャイアンの「身体表現性障害」です。彼も何かに不適応を起こしています。
     私にとってADHDを理解することは自分を理解し家族を理解することです。一生のテーマだといえます。時々考え過ぎて落ち込んだりもしますが理解が深まる度に自分が成長していくのを感じます。教育的なことは教育カウンセラーの先生に相談しながら、自分の不適応はこのブログで勉強しながら自分の人生に向き合っていきたいと思います。これからもよろしくお願いします。
     そして私の両親は自覚なしのジャイアンです。老後は子供(私の兄弟)の人生の後始末に中途半端に介入し、問題をこじらせています。家族単位で発達障害を抱えているケースが多いことは事実です。一石二鳥、家族丸ごと回復できるマニュアルがもしできたら・・・楽しそうですね。

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