8.発達障害自己診断ガイド各論(ADHD)

ADHDのAC

 

「ADHDグループ」には、

「人を必要としない」の他、

「移り気で刺激を求める」、

「(まだ使えるから)物を捨てられない」、

「いろいろな作業を同時進行でいくつも進めてどれも終わらない」、

「納得しないと行動しない」、

「臨機応変で場当たり的」、

「言葉を真に受ける」などの特徴がある人が残っている。

 ただ、ASのときと同様に、

「二次障害として痛い目にあったから自分で多数派に合わせるようになった」

ということを考える必要があり、こういう場合は上記の「ADHDらしさ」は一見目立たなくなる。

これを私は「ADHDのAC」と呼ぶ。

 

 ADHDのACとは、

自分は駄目だから多数派に合わせるしかないと思い込んだADHD」のことで、

ADHDとしての不適応の中で小さい頃から叱られたりいじめられたりして

自分で修正しようとしてきた人のことだ。

 

 しかし子供の頃の修正は、「ただ自分が悪いからと思い込む」ことになるので、

自分自身を裏切り、

発達障害として「自分が納得する」という一番大事なことを犠牲にして生きることになる。

 

 その結果「うつ状態」になったり、

頭痛や吐き気などの身体症状、強迫症状、時には解離(多重人格)までのいろいろな形で病気になる人が多い。

私は心療内科で他の病気として来院した方の中に

ADHDのACの人を何人も発見した。

 

AC(アダルトチルドレン)として表面上多数派に合わせているので、

上記のような典型的なADHDらしさはないが、

よくよく見ればADHDと分かる。

特に5歳以前のエピソードをたどってみると良く分かる。

一見「受動型AS」との区別が難しいが、「人への愛着」に戻れば鑑別は可能だ。

 

思い込み型ADHD

 思い込み型ADHDは、ASの受動型にちょっと似ていて、

「何でも言われたことを本気にする」というADHDの思い込みの部分が極端に目立ち、

通常ならACになるような状況の中でも

自分は納得していました」と言えてしまうすごい人々だ。

 

 黙々と割に合わない役割でもこなし、「これは自分の役割」と信じて不満にもならない。

 ただ現実の経過の中でその役割が無くなると

「自分が無い」という風に感じることがあり、その場合に自己診断が必要となることがある。

それ以外は基本的に納得しているので問題にさえ感じない。

 

自己正当化型ADHD

 このタイプのADHDは自分では「自分が当たり前」「自分のほうが正しい」と思っていることが多く、

「少数派」という認識自体が困難で、

また自分に不利なことは認めないため、自己診断を必要とすることは少ないのだが、

ADHDについての分類を説明するのにどうしても必要なので説明を加えておく、

 「人に執着しない」ことなど他の特徴はADHDそのものなのだが

小さいときから自分が中心で人より優位に立つことを求め

逆に自分が不利なことを認めることが難しいADHDの一群があり、

自己評価が下がらない特徴のみアスペルガー症候群に似ている

表面的な学歴や極端なブルーカラーへの偏見などを

相手が従うまで延々と言い続けたりする。

 

人のことでは合理的な考え方が出来るが、自分のことは客観的に考えることが難しく、

自分を正当化しようと

無理やりの言い訳ばかりするのが特徴だ。

ドラえもんの「ジャイアン」や「モラハラ」の加害者としてよく現れるのがこのタイプだ。

 

さてこの自己正当化型ADHDがさらに押さえつけられて

二次障害で「自己正当化型ADHDのAC」となることがある。

依存的で被害的、人から痛めつけられているからと人を悪く言って自分に注目してもらおうとする特徴がある。

思い込みが激しく、人の誠意を試そうとしたりするが、

基本的には自分を評価するかどうかだけに関心があり、相手は誰でも良い。

 

自己正当化型ADHDのACも自己診断を必要とすることが少ないが、

ADHDの5つのタイプには入るので、先に特徴を説明した。

同じADHDとして残念だが、周囲の人が困るタイプだ。

 


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