親に暴力を振るう引きこもりなどの場合で、家族から相談が受けることが良くある。ネット相談などでは私は親自身にカウンセリングを受けることを勧めることが多いのだが、これは「共依存」の場合を半分念頭においているからだ。
こういうケースで医療や福祉の専門家から「本人が一番苦しんでいます」「じっくり見守りましょう」という助言が出てくることがある。
私はこのケア方針は引きこもっている本人の健康度に関してかなりの自信が無いと出せないものだと考える。
情報が少ない段階で出てきた場合は、「医療者や福祉関係者の責任逃れの逃げ口上」では無いかと言いたくなる。
重要なアセスメントは、「積極的な介入をしないで見守るだけで自力で回復する見込みを持てるかどうか」だ。専門家はその判断をする立場にあり、その結果に責任を持たねばならない。
私は医療のプロとして、自分のアセスメントとそれに基づくプランには責任を負うべきであると当たり前に考える。「じっくり」を助言するからには、「少なくとも数年の間には自然に解決へ向かう」という確たる見通しが必要だ。これは口で言うほど簡単ではない。
「支持的な関わりを続けて行きながら本人が自力で立ち直るのをじっくり見守って10年以上経ってしまった」というのでは冗談にならない。
もしもこの経過になるのであれば、それは「アセスメントの見立て違いであった」と考えるべきではないか?
もっともはじめから「10年以上かかる覚悟で行きましょう」と親などに告げるのなら話は別であるが、その場合は家族は普通は別の専門家のもとへ移るだろう。
例えば「11歳、小学校5年生のいじめを原因とする不登校」などの場合は、適応指導教室のスタッフやスクールカウンセラー、時にはフリースクールの仲間などの環境で「本人が成長して自然に立ち直る」可能性を想定して強い介入を差し控える根拠は十分にあるだろう。
しかし同じ引きこもりでも18歳を超えてしまうと、「サポーティブに話を聞いておけばその後本人が成長して自分の生きる道を見出して行くだろう」と安易に想定できるだろうか?
こういうケースでも「本人がいちばん苦しい」はその通りだが、「それを理由に積極的に介入しない」というケア上の判断はどうなんだろうか?
上記のアセスメントで最も重要なことは、「親との共依存のシステムが出来上がっていることが無いかどうか?」、「本人の発達障害などの問題が隠れていないか?」である。
成人しているのに「この子は自分で生活出来ないから」「他人様に迷惑をかけないため」と言って面倒を見続ける親は多い。
多くは幼少期から過保護過干渉で、本人は失敗から自己責任で学ぶ機会を与えられず、管理され支配されて生きてきて「自分で考える」ことをしなくなっている。
「本人が自分で出来ないから」、「親に丸投げしておけば最後は親が尻拭いしてくれる」という共依存のシステムが出来上がってしまうと、それ自体が引きこもり体制を支えているため、そのままで自力で解決へ向かう可能性は非常に少ないと私は考える。
実際親が年取って限界になってから医療につながるケースも保健所などでは今でも時々目にする。
共依存の場合は、極端には「最後は叩き出す」というハードな自立への環境調整を目標にして、親が親からの共依存のプラグを抜くための努力を続けることになる。
脳自体が依存的に出来ている受動型ASのケースや、ADHDで超場当たり的に支配的な親の顔色を窺うスタイルだけを身につけ成長したケース(私は依存型ジャイアンと呼ぶ)は、本人の側にケアするべき発達障害があり、「自然に成長して解決」という形にはならない。
「その脳の特徴を持ちながら、どう社会に生きていくか」のオーダーメイドの方針が必要だ。
統合失調症やうつ病で未治療のままニートだったケースは昔からあった。
これらの場合は最低でも医療で「診断」はつける必要があり、家族の定期受診などにより診断をつけるだけの情報収集と、家族との緊密な相談による(時にはハードな)「環境調整」が必要になってくる。
いずれにしても「本人が苦しいからじっくり様子を見ましょう」では駄目なのだ。その駄目なケースをきちんと鑑別して介入するか見守るかを決めるまでは医療と福祉の専門家の最低限の責任なのだ。
すばらしいです。YANBARU先生の「本領発揮」の記事です。
「暴力をふるうひきこもり」の人に「共依存の要素」と「発達障害の傾向」がないかどうかをチェックし、ケアすることは必須ですね。その部分に責任を持って対応していらっしゃるYANBARU先生を尊敬いたします。
おせっかいですが、「参考までに」もう一つの要因と考えられるものを追加させてください。それは「栄養と脳の関係」です。現代医学では認められていませんが、「機能性低血糖症」という病態が存在することが明らかになってきていて、発達障害傾向の人は特にその病態と深い関係があるようです。血糖値調節異常の状態では「攻撃行動」を起こすホルモンが分泌されやすく、情緒も不安定なので、ひきこもりになりやすいようです。
血糖値を急激に上昇させる食物を避ける食事(糖尿病に良い食事とほぼ一緒・糖質を避けてタンパク質をたっぷり摂る)を心がけて、同時に精神面のケアを積極的に行うと症状が改善するという研究が進んでいます。
「親に暴力をふるうひきこもり」は親も本人もとってもつらいからこそ、さまざまなアプローチを並行して積極的に行なって、闇の中から光の世界に家族皆で出てきてほしいものです。
医療や福祉の専門家の人たちが言う
「見守る」という意味は
最終的に「本人が問題を自覚し、自分でなんとかしようという能動的な感情が自然とでてきて、成長するのを焦らず待ってあげる」
という意味だと僕は思ってます。
先生の言うように、僕もこの段階で一番大事なのは、親に見守ることが出来る器量があるのか、親自身に発達障害やACの問題が隠されてないのか?それを確認することが重要だと思います。
基本的に子が精神疾患を抱える場合、親にも問題を抱えてる場合がほとんどで、だからこそ、まず、その親との空間から抜け出すことが、重要なんではないかと僕は思います。
僕自身、回復の過程に入れているのは、何か相手にすることで自分を満足させる、自分のための行為しかできないジャイアン母がいる監獄から抜けて、一人暮らしをしているからだと思っています。
だから医療に携わる人は、まず親との生活空間から抜け出すことを助言してあげて欲しいなと当事者としては思います。
いつもブログありがとうございます
自分はADHD当事者です長年の苦しから解決できず
現在35才になりますが、全て見事悪循環に陥り毎日辛い現実になってます
辛い現実から逃れたい最近自殺願望があり、
とても危険な状況です
ADHD、ASのかたにどのような工夫、生きる希望もつためにどのようなことされてるか教えていただけますでしょうか
母が、当人の故郷にある老人ホームに入居しました。
これでめでたし、のはずでした。
ところが、いま、「知らない記憶」が噴き出てきました。
(自分でもおかしな文だと感じますが、この表現が「しっくりくる」のです。)
「母が留守のときに父から何かひどい事をされていた」ときの「映像」「声」「感覚」が、断片的に蘇ってきた。
状況証拠(?)からして、7才以下の頃です。
最初は悪夢として、その後は白昼夢となり、そして背後にせまってきます。
私の地獄は、二重底だった。
地獄の底だと思っていた物が実はフタで、それを開けてしまった(=母と自分の分離)。
すごく不安定で仕事に行けなくなり、過呼吸に苦しんでます。
しかし、もう一度母と暮らしたいとは、決して、思いません。
「母という監獄」と、「苦しいと自由に泣ける地獄」なら、後者を選びます。
見診断ですが、ADHD を 疑っています。
私は 幼い頃から暴力的で 同級生に怪我など負わせていました。
中心思考で、どこへ行っても 何をやっても 1番じゃないと気がすまないタイプで、人を カス ザコ扱いしていますが、表面上はそれを隠して お付き合いしています。
先生が以前に 糖の代謝のお話をされていた時に 、自分もかなと 気になっておりまして、自分で調べたところ 機能性低血糖症ではないかと気づき(空腹時に震えがきて 脳が停止しそうなります)
糖分は炭水化物から摂るようにして、お砂糖類を断ってみました。
もう、数ヶ月になりますが、何年も続いた原因不明の筋肉の痛みがおこらなくなり、精神的にかなり安定しています。
黒ごますりさんのコメントを見て、私もお話したくなりました。
匿名希望です
神戸在住
息子26歳のことでずっと悩んでるものです
育てにくく、小学生の頃は、カウンセリング等受けたこと
ありますが….わからずまま(私も参って….いましたし)26年間 靄の中 トンネルの中をさまよっています
大人になれば解決するかも
でも 相変わらず内容変わらず
見た目が大人になっただけで、余計にズレとギャップを感じ辛いです
普通の精神科に行っても 解決できないし
何処に専門家がいらっしゃるか わかりませんでした
ヤンバル先生に指導相談してほしいです
行動しないと 依存.共依存のまま人生終わりそうです
沖縄は遠いけど…
予約をお願いします
責任逃れ医者がですが友人のデイナイトケアで急に主治医がみんなの前で辞めると言って翌日に来ない。医療機関、デイナイトケアメンバー、職員に混乱が起きたよ。先生の地元です。
その先生は個人で病院を運営している。
「何月何日までいます」と言いながら翌日になっていなくなった。電話してもとらないです。 大問題です。
話しを変えますが、地元の新聞で成人の発達障害を見る医者が少ないです。
また、新聞で職場での人間関係で苦しんでいるのに保健所から紹介で地元の発達障害者支援センターに紹介されて行きましたが職員から「病院に行ってきなさい」などを言われて断れた。
先生の地元です。新聞、テレビでは良いように書いていますが実際は信用が出来ないです。地元の発達障害者支援センターもやらない。メール&電話での相談などもやらない。本音がわからない。
Jリーグの中野さんが先生の地元で講演した時ですが
中野幸夫「Jリーグ専務理事&アルビレックス新潟元社長」が講演で
社員との3つの約束
1.嘘をつかない=事実に基づいた経営
「事実の把握、事実に基づいた評価」
2.言い訳をしない=限界をつくらない
強まないチャレンジ
3.人の悪口を言わない=組織力の強化
信頼関係の中での作業、的確な情報伝達
1.役割があること
2.それが社会貢献的であること
3.それが将来性(継続性)があること
彼は、アルビレックス新潟をJリーグ成功させている。
成人・発達障害者について県・行政・発達障害者支援センターなどが動いてほしい。中野さんの言葉で今の医療機関などに当てはまります。