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ジャイアンの本質(中間総括)その1

 はじめに 司馬先生が平成9年に「のび太・ジャイアン症候群」としてADHDを日本に紹介してから、最近では学校現場だけでなく成人にも徐々にADHDの理解が広まってきた。
 私は心療内科の臨床でACや人格障害と呼ばれる人のカウンセリングに取り組む中で、成人ADHDに接する機会を得、また自分自身もADHDであることから、のび太とジャイアンは「いったいどこが違うのか?」、「ADHDとアスペルガー症候群の根本的な鑑別点は何なのか?」について考え続けてきた。最近やっと私なりの結論に到達したので、まとめてみようと思う。

1.ジャイアン型ADHDの特徴は「衝動コントロールの障害」である。
 ジャイアンの障害の本質は「我慢」が出来ないことである。2歳から3歳にかけて多くはマスターする「衝動コントロール」の部分が失調しており、制限されなければ「全く我慢しない」状態が自然となる。
 本来は「自分の衝動が100パーセント実現するのが当然のあり方」であり、極めて自己中心的かつ誇大的な認知と思考を特徴とする。   
 (実際はそのまま衝動のままに成長することは不可能であるので、環境に応じて後述のようにさまざまなスタイルへ特化して行くため、成人時点での現れ方は表面上は一つのグループに括ることが困難な程に多様となる)。

2.ASとの根本的な違いは、基本的な「他者への無関心さ」である。
 ジャイアンを一括りに一覧表的な症状で表すのは上記の多様性のために難しいが、ASと区別される根本的な共通点は、「他者への無関心」であると私は考える。
 ASは根本的に「他者を無視できない」「他者との近さ」を特徴としており、他者との関わりが根本的に重要であるが、ADHDは基本的に単独で孤立した自己認識を特徴とし、基本的には「他人はどうでも良い」という認知と思考である。
 ジャイアンの場合は他者は本質的には「自分の利益のための利用対象」でしかなく、二次的に獲得したスタイルの結果として、「言語的に理解してくれる相手」「競争して勝つための相手」「競争相手から遠ざけて自分が独占できる相手」「(利用に限りなく近い)依存対象」「(AC的に自己評価が下がると強迫的に合わせるべき多数派の見本」などの形で結果として「他人の目を気にする」ことになる場合でも、ASの身体感覚的な対人被影響性および距離を置けない関係のあり方とは根本的に異なる。
 一言で言えば「自分の都合のための他者」でしかない。例えば子供の場合、「競争相手が居れば母親を独占したがるが、自分だけのときはそれほど母親に執着しない」など。
 関心が無いという一方で、「言語的に表面的にほめられる」ことには極端に反応し、露骨なお世辞でも見抜けず、成人でもおだてられて簡単にだまされることも多い。子供では「列の前の数名を見て泣かないとほめられるから予防接種でも泣かない」という行動が良く見られる。
 ASは逆に「人を利用するのは悪いこと」であり、他者との関係には対面した身体的な情報を伴う情緒的な交流を必ず求める点で、ジャイアンとは対照的であると私は考える。


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  8. 中心志向の過集中

コメント

    • YK
    • 2010年 6月 13日

    はっきり書かれると辛いですが、
    実感としてそのとおりです。
    ACがとれてきたジャイアンは、自分でも分かりやすいです。
    口でどうこう言っても、自分のことしか考えていませんし、
    我慢ができません。
    我慢したら身体に出たり、頭がボーっとしてきてうつ状態になり起きていられなくなります。

    • 匿名
    • 2010年 6月 14日

    >ジャイアンの場合は他者は本質的には「自分の利益のための利用対象」でしかなく<
    ここなんですが。確かに自分自身もそうだと思いますが。
    果たして多数派の方々は他者に対して本当に思いやりとか愛情とかを感じておられるのでしょうか。どういう種類のものか、ということもいろいろあるんでしょうが。
    ジャイアンの方が自分に率直で、多数派の方が真意を隠して他人、社会に合わせている、という考え方はできないでしょうか?

    • asa
    • 2010年 6月 14日

    そういえば、蚊に食われたりしても一切我慢ができず、
    肌がボロボロになるまで掻いてしまいます(苦笑

    • あまがえる
    • 2010年 6月 14日

    ”人を利用する事は悪い事”と考えています。信念というレベルだと思います。かなり頑固です。
    他人の存在が気になり過ぎます。独りで過ごしているときの楽さと集中力が常に欲しいです。
    ”他人の事はどうでもいい”と思いますが、自分の利益の為に利用する対象とは考えていません。利用するならば相互に得るところがあり、承諾を得ている事が前提と思います。
    褒められると離れたくなります。存在が身近に感じられて嫌です。

    • 憂鬱
    • 2010年 6月 14日

    長い間、夫は受動型ASだと思っていましたが、実はジャイアンみたいです。
    色々調べて「衝動制御障害」に行き着きましたが、やんばる先生の説明
    のほうがわかりやすいです。幼少期の育ち方に問題ありなのでしょうか。
    夫は今、この障害の結果と推測される病気にかかり、本人も辛いのですが
    このジャイアン特有の認知と思考で周りを振り回し、まさに自分で
    自分の首を絞めている有様です。どうしたら、本人に気づかせてあげられますか?

    • nori
    • 2010年 6月 15日

    ジャイアンが他者を感じられない他者に無関心という
    のは確かだと思います。
    だからこそ、人を怖がらないんですよね、怖がらないというか怖がれないと言ったほうがいいのかな。
    多数派の人は初対面の時は「この人どんな人だろう?」っていう探り探りですよね。
    多数派の人が恋愛の時とかによく言う「性格を知っていくとどんどん好きになる」という言葉正直しっくりきません。
    多数派の人のように相手の性格の細かい部分まで感じれないです。

    • 匿名
    • 2010年 6月 15日

    >独りで過ごしているときの楽さと集中力が常に欲しいです<
    >他人の事はどうでもいい”と思いますが、自分の利益の為に利用する対象とは考えていません。利用するならば相互に得るところがあり、承諾を得ている事が前提と思います<
    >褒められると離れたくなります。存在が身近に感じられて嫌です<
    あまがえるさんのコメントもよく理解できます。
    ちなみに褒められると「実は何かあるのではないか」と勘ぐって疲れることもあります。

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