ADHD関連

ADHDの認知① 「あれはあれ、これはこれ」

 前回までのASの分析と同じような作業をADHDについてもやってみようと思う。自分のことであるので、私も意識化することが少し難しいので、本人も家族も、ADHDについての素朴な疑問などの協力をお願いします。

 さてADHDの認知の一番大きな特徴は、「個々の行動や認識したことが相互に関連付けられない」ということだ。「これはこれ、あれはあれ」である。たとえば、今日のことと昨日のことは同じことでも「別」だったりする。

 特に時間的に前のことと今のことは別のことのように認識され、一貫性がない。一番極端な例は、「ギャンブルにお金を使うことと、借金の返済が遅れることは別」になったりする。

 時間認知はまた別に詳細に検討するとして、基本的に「現在の目の前にある状況」は一回限りの「いま、ここ」として認識され、同じ行動や同じ人、同じような状況などのポイントで「いま、ここ」以外の他の経験や事実と「比較」もされず、「関連付け」もされない。

 言ってみれば毎回「参考情報なしの初めての出会い」のようにいろいろなことを認知するという形になっている。目の前の誰かの行動の表面に現れない「目的」や「意図」、「結果として起こりうる状態」や「自分に有利かどうか」などとはまったく切り離されて、「ただ目の前のことに単純に反応する」という感じだ。

 この認知の結果として、「軽はずみ」、「場当たり的」「非計画的」「近視眼的」といった行動パターンとなる。

 他者との付き合いにおいても、極端な話「これまでの経過との関連をまったく考えないで」対人行動を決めるので、「全く意味が分からない」と思われることが多いだろう。

 逆に「利害や状況や世間の見方などに捉われないで正対して誰にでも平等に接する」という風に表れた場合はその状況に限って長所ともなりうる。未来の不確定性の多い状況や、新しいものを開発する状況、差別や偏見に捉われない必要性がある場面などはこのスタイルがプラスに働く。

 多数派もASもこのような極端な「関連付けない」発想はしないので、理解されるためには、ADHDも頭で状況の比較や関連付けを補ってみる必要があるだろう。


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コメント

    • mario
    • 2007年 1月 16日

    ASの私にとっては全く未知の世界観でした。ADHDの方を理解するために頭に留めておきます。
    ところで、状況がその場限りの事実で他の事実と関連付けされないと言う事ですが、ある状況に複数の原因が絡んでいると、その場で間違った関連付けがなされることはありませんか?
    例えば、辛い気持ちの原因を確かめずに、全て目の前の対象のせいにしてしまうなど。

    • yurin
    • 2007年 1月 16日

    marioさんへ
    >ところで、状況がその場限りの事実で他の事実と関連付けされないと言う事ですが、ある状況に複数の原因が絡んでいると、その場で間違った関連付けがなされることはありませんか?
    ADHDの人は根本的に特定の人に対しての愛着はないです。
    また付き合う理由も『話が合う』『よく話を聞いてくれるように見える(実際に話を聞いているかどうかは別で)』人に心が動くのではないかと思います。また『趣味が合う』『一緒にいて楽しい』などというのも、関係が継続する要素です。
    ただ、先に書いたように『特定の相手に愛情を持って』というのとは微妙に違い、極端な話『相手は基本的に(話を聞いてくれたら、理解をしめしてくれたら)誰でもいい』ということになります。また『一瞬がすべて』なので、そのとき話題が合って、また相手の押しが強いとなんとなく惹かれて付き合うようになってしまいます。
    一般的にADHDが浮気しやすい、と言われるのはこういうところがあるからだと私は思います。悪気はないのだけど、なんとなく話も合うし悪い人じゃないし・・・・と、ズルズル関係を継続して、さらに浮気相手の押しが強く、その相手のほうから『離婚してくれ』などと迫られると断りきれない一面があります。
    以上のことから、『浮気の原因そのものは、結婚生活と直結(関連付け)してないかもしれない』けれど、浮気が継続した場合は『相手の押しが強い場合、離婚理由をこじつける』ということはいえるのかなと思います。
    基本的にADHDは男女とも、特定の人に愛情(愛着)は持たない。だから交際が継続して結婚へ至る場合は(それが浮気でも)『相手の押しが強い』ことが条件になるんじゃないかなと、思います。配偶者以外の異性と付き合いながら、結婚生活も安定させる、ということも(よくも悪くも)可能にしてしまう場合もあるような気がします。まさに『これはこれ、それはそれ』の発想で。

    • yurin
    • 2007年 1月 16日

    >例えば、辛い気持ちの原因を確かめずに、全て目の前の対象のせいにしてしまうなど
    これは具体的にどういうことなのかわからないですが、ADHDは(私に限って言えば)あまり人(他の対象)のせいにすることはありません。自分なりに原因を探り対策を考えようとします。
    (ただ自己正当化ADHD(のAC?)になると違います。(私の母親がそうなんですが)、『自分は絶対間違ってない、結果が悪いのは全て他人のせい』と強く他者に訴えるところはあります。)

    • HIKARI
    • 2007年 1月 16日

    なるほど・・・。
    過去の失敗を『学習』しないことが不思議でしたが、ADHDの特徴であるということを受け止める努力をします。
    >「利害や状況や世間の見方などに捉われないで正対して誰にでも平等の接する」
    そういうところは感動するほどです。

    • yurin
    • 2007年 1月 16日

    最近、非常に気になることがあります。
    以前にも書いたと思いますが、ASもADHDも『お互い様』で
    どちらにも長所と短所があります。
    どっちがどう悪い、という議論やコメントは双方にとって不愉快なうえに、実りもないと思います。
    たまに、はっきり言うことはお互いの理解のために必要ですけれどね。

    • mario
    • 2007年 1月 17日

    まず最初に謝ります。
    「例えば、辛い気持ちの原因を確かめずに、全て目の前の対象のせいにしてしまうなど。」
    この質問は単純な疑問からのものですが、ADHDの方々に失礼でした。でも質問したおかげで分かりました(否定できました)けど。
    どっちがどう悪いと言うコメントは避けたいですが、こう感じると言うコメントは少々辛くても確認したいです。例えば、別スレッドの「尻拭いをさせられる」と言うのは、私がいつも感じている事実です(身近な小さな問題ではそれでも良いやって思ってやってきたんですけどね)。ASがどう感じられているのか、と言う議論は、読んでいて辛いものですが必要な事実の確認です。
    ADHDと思われる私の妻の「利害や状況や世間の見方などに捉われないで正対して誰にでも平等に接する」、あるいは差別や偏見がない、と言う部分にはいつも感心していましたし、リハビリ系の仕事をしている今はとても有効に働いていると思います(他のスタッフから嫌がられているような困った患者さんにもちゃんと対峙できるなど)。
    一方、患者さんと自分の子を平等に扱う(子を優先しない)とか、他のスタッフが自分の子を優先することに異論を唱える部分は、平等すぎるなぁと言う印象も持ってます。
    ADHDの皆さんがそうかどうか、そもそも妻がADHDかどうかもハッキリしていませんが。

    • ぬこ
    • 2007年 1月 17日

    はじめまして。数年前に診断されたADHD当事者です。
    この記事はまさしく自分のことだと思いながら読んでいます。
    関連付けの出来なさ、本当にそうです。そのために失敗の原因を違うところにに求めるというのもありそうですよね。
    私の場合は不注意も不器用もひどく子どもの頃から失敗の数が半端じゃありませんでした。だから自分が原因であることは早い段階で認めざるを得ませんでしたが…。
    非ADHDの方からのお言葉は、私にとってはリアルでは得がたい有難いものです。この機会に聞けたら、と思っています。

    • yurin
    • 2007年 1月 18日

    私は今後、必要がなければASがどう見える、というコメントはしません。何故なら今回、かなり痛い(いろんな意味で)思いをしたので。
    結論としては、相手を悪く言ってもお互い嫌な気持ちになるだけで、何の解決にもならないことがわかったからです。
    それより大事なのは、相手を理解することです。
    私のコメントで気分を害された方皆さんにお詫びします。
    申し訳ありませんでした。

    • 匿名
    • 2007年 1月 29日

    コメントありがとうございました。
    mario様
     「関連付け自体が少ない」と理解してください。ADHDには極論すれば「原因」がわかる必要は無く、「現実的な方針さえ分かればそれ以上考えない」ということもよくあります。
     また、「何が間違っているか」は有限な人間には分からないと私は思います。
    yurin様
     自分の(結婚しているなどの)「立場」をあまり考えず、「誰に対しても目の前に居る人に一番の関心を注ぐ」という感じで、浮気も「あれはあれ」ということになることは私も(しませんが)想像はできます。
    HIKARI様
     「学習しない」と見えるのはその通りですね。
    yurin様
     これはどちらかというとあなたの感情的な反応のしすぎだと思います。あなたの感じているほどそれぞれは批判もしていないと思います。「たまに」でなく常にはっきり言い合いましょう。
    ぬこ様
     自分自身について理解することは大事です。少しずつADHDについて書いていきますので、あなたも率直なコメントをお願いします。
    コメントありがとうございました。

    • JET
    • 2012年 6月 23日

    先生こんばんは
    高校生の頃パンツの色を聞かれて答え、友人に「答えなくていいんだよ!」と言われ、(答えなくてもいいの?)と思い
    また別の日にサイズを聞かれ答えていると友人が渋い顔をしていたのはこれだったですか

    • サンフラワー号
    • 2012年 6月 30日

    関連付けについて
    不合理な関連付けは、ほとんどフラッシュバックでしょう
    江戸の敵を京都だっけ 長崎だったか 
    そもそも複雑な情報処理自体ストレスフルなので、単純な結論づけに走り出して シンプルな都合よい理由付けを好む

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