AC、人格障害関連

ジャイアンの障害の本質

 ジャイアンの子供はなぜじゃんけんで負けて泣かないといけないか? なぜ周囲を振り回すまでして注目を集めないといけないか?

 比較の対象は多数派で、(これは想像であるが)、多数派の子供は、例えば失敗しても、家族から少し「よしよし」してもらえれば立ち直る。テストの点なども、周囲と比べてそれほど悪くなければ気にならない。

 周りの家族や友達との関係の「場の空気」の中で自分自身の存在を感じることが出来るので、ある程度の安心感を得られる。

 ジャイアンは「他者」を感じられない。自分と他者が形成する見えない「場の空気」を感じられない。

 何も無い状態では、自分がどこに居て誰であるのかも、一瞬前の自分と今の自分のつながりも、実感としては安定せず、その結果、ジャイアンの子供は幼少期から非常に不安が強い。

 トイレに一人では入れなかったり、暗がりを怖がる、(怖そうな大人を怖がらないのと対照的に)鬼やお化けなどの超自然的なものを極度に恐れるなどのジャイアンの子供独特の不安は、「自分が無くなってしまう」という非常に根源的な不安につながっているのだ。

 私は結局ジャイアンの障害の一番の根っこは、「他者を感じられない」ということに行き着くと考えている。他者を感じられないから「場」の中で安心できない。

 飽くなき不安の中で表面的な優位や注目の独占を獲得するために死に物狂いの努力をせざるを得ない。

 「場」を認識しないから、多数派から見れば「結果を得るためには手段を選ばない」という行動が帰結する。

 これが中心志向の本質であり、ジャイアンの子供が育てにくい根本的な理由であると私は考える。


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コメント

    • ドロシー
    • 2009年 3月 02日

    わかります、非常によくわかります。
    ここのところのジャイアン成育シリーズで
    頭の中は渦潮がいくつも回ってのまれている感じです。
    自分より2,3歳下どころか、下手すれば幼児相手にさえ優位に
    立とうとしてました。IQは120(ちなみに言語性優位)…
    小さい子を誉めたら、自分はもっとできるよとアピールする。
    犬をかわいがると、八つ当たりしていじめる。
    精神年齢が3~5学年下と考えれば納得もできるのですが
    その場では正直、我が子ながらうんざり。嫌悪を感じてました。
    求めるものが多過ぎ、高過ぎ。常に100%自分の方でないと
    安心できない、満たされないのでしょうね。
    大分言葉で説明したり非言語的フォローをしたりして、9歳の今
    90%くらいでも折り合いがつけられるようになってきたと思います。
    場合により(その対象や興味のあるないで)50%でまっいいやと
    妥協できたり、100%にならないと意地になったりはありますが。
    ただし、これも私の自己満足な思い込みかもしれません。。

    • エイト
    • 2009年 3月 02日

    私が長年悩んできた次男の‘不思議‘について、先生が簡潔に説明してくれたような気がします。
    彼にとっては学校や習い事などは他者とのつながりを感じられない「不安(定)な場」ということになるのですね。
    授業と関係のないお笑いを演じたり、先生の指導を完全に無視したり、自分だけルールを守らないなどで表面的に優位に立ち、まわりから注目されて安心する。
    そういう多数派から見れば不可解な行動をしたあとで彼を呼んで話をした先生達は全く同じことを言います。1対1で話すとよくわかっていて気持ちも通じるのに何故なのでしょう?と・・
    >結果を得るためには手段を選ばない
    全くそのとおりです。
    コンサータの服用でさえ欲しくてたまらないゲーム機との交換条件でないと納得しません。
    クラスの(部分的に)自分よりもきちんとできていない子の名前をいちいち挙げて、何であの子たちが飲まないのに自分が飲まなきゃいけないのか?という中心志向を思いっきり発動するのですから。
    >飽くなき不安の中で表面的な優位や注目の独占を獲得するために死に物狂いの努力をせざるを得ない
    これは大人になったジャイアン・私にもあてはまる気が・・

    • エイト
    • 2009年 3月 02日

    >ジャイアンは「他者」を感じられない。自分と他者が形成する見えない「場の空気」を感じられない。
    そういえば保育園のときに・・公園に散歩に連れて行ってもらっても”みんなと遊ぶ”のじゃなく、次男はよくブランコに乗ったまま(あるいは滑り台の天辺から)”遊ぶみんな”のことを眺めていました。
    大人に「一番好きな友達は誰?」と聞かれて「自分」と答えたことも。
    今は好きな友達がいてその子とつるんだりもしますが、基本的に一人が好きです。

    • クインテット
    • 2009年 3月 02日

    >飽くなき不安の中で表面的な優位や注目の独占を獲得するために死に物狂いの努力をせざるを得ない。
    ジャイアンの夫は、死に物狂いで身につけたやり方(努力家のスタイル)をやめてしまうことは、『自分が自分でなくなってしまう』ことだと言っています。
    >私は結局ジャイアンの障害の一番の根っこは、「他者を感じられない」ということに行き着くと考えている。
    今回の記事は、問題と答えの間を埋める見事な「証明」を拝見した思いがいたしました。

    • グッピー
    • 2009年 3月 03日

    我が家の長男はアスベルガーで一番病です。
    運動会の団体リレーでも一番でないと大泣き、1歳の赤ちゃん相手でも物を取った時には、泣かせてでも取り返します。
    >ジャイアンは「他者」を感じられない。自分と他者が形成する見えない「場の空気」を感じられない。
    >何も無い状態では、自分がどこに居て誰であるのかも、一瞬前の自分と今の自分のつながりも、実感としては安定せず、その結果、ジャイアンの子供は幼少期から非常に不安が強い。
    ヤンバル先生のコメントで行動の理由が分かりました。
    >何も無い状態では、不安が強くなるのもわかります。
    つい、長男の起こした行動をしかるのではなく彼の状況を理解して説明が必要ですね。
    また、「他者」を感じられないから、他人と自分は同じものと思っています。「他者」と「自分」の違いを理解したら、コミニケーションの違う意見を楽しめるのに、「他者」と「自分」が同じと思ってるのであまり会話の必要がありません。
    今後の療育の参考とさせて頂きます。ありがとうございます。

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