AC、人格障害関連

合理的な思考③

 もともとADHDは大雑把で「きちんと」考えることがどちらかと言えば不得手だ。ジャイアンもASも、中心志向から来るエゴおよび過集中のときの関連付け思考などにより、情緒的なエゴで結論が決まっていて、根拠については後付けの理論で正当化したりすることが多い。

 ここでよく見られるのは、「いろいろな気持ちや考えを一緒くたにしている」という特徴だ。全部まとめて攻撃するか、さもなくば全部まとめてひっこめて我慢するか、極端な選択になることが多い。

 合理的な思考の第三のポイントは、「具体的に細かく調べる」ということだ。

 私は診療の中でほとんどの場合に、訴えの中身を「いつから、どの場所で、具体的にどんな形で、どんな頻度でetc」と具体的に聞き出すようにしている。「その前に現実のストレスがなかったか?」 なども具体的に聞く。

 その後で、特に「怒り」などについては、「誰に対するどのような怒りか」と一つずつ聞きながら、これを除いたらどんなものが残るか?と丹念に聞いていくと、一つの「怒り」についてもさまざまな感情が入り混じっていることが分かる。

 絡まった糸を解くように、怒りの一つ一つの要素を拾い上げていって、今度は細かく一つ一つの要素について整理する方法を考えていく。

 全部まとめた怒りについては気持ちを整理する方法は困難でも、ひとつひとつについては、冷静に考えると解決が可能なことが多いのだ。

 ジャイアン親の子供への感情には、「思い通りにしたい」、「自分の子供として自慢したい」、「子供に優位に立たれるのはむかつく」、「手近に居ると八つ当たりの対象にする」などの感情のほか、時には「AS夫の愛着を争う娘への嫉妬」であったり、「妬み」などもある。

 これを一緒くたに考えていてはなかなか整理は進まない。

 ひとつひとつ、こういう部分もありますか? と細かく分析して行って、「これらの感情がごちゃ混ぜになった感情ということですね」という結論に達したら、こんどは一つ一つについて例えば「ジャイアン親の中心志向のエゴから来るもの」、「別のストレスのはけ口としての八つ当たり」、「娘への嫉妬心」などの「意味」をはっきりさせていく作業をする。

 「細かく調べる」という作業は特に情緒に振り回されて冷静な思考が出来なくなる過集中のときなどに役に立つ。

 こういう作業を一緒にしてくれる冷静な相手を身近に持つことは重要だ。 


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コメント

    • 2008年 12月 19日

    >「いろいろな気持ちや考えを一緒くたにしている」という特徴・・・
    これは私に、とっても思い当たります。
    例えば、発達障害のタイプ、自分はどれだろうと、
    先生のHPでのASとADHDの特徴などを見ていても、
    途中で、自分と母、又夫やら息子などの事が入り混じってきて、結局私はどれ?母は?夫は?息子は?・・・と言う感じです。
    こんな感じですので、自分の気持ちも一緒くたにしてるんだろうな・・・と思います。
    >「具体的に細かく調べる」ということだ。
    >こういう作業を一緒にしてくれる冷静な相手を身近に持つことは重要だ。
    年明けに予約している、発達検査楽しみです。
    カウンセラー、相性の良い人だったら良いなぁ。
    先生、いつもわかりやすいお話、本当に感謝です。

    • 匿名
    • 2008年 12月 19日

    >こういう作業を一緒にしてくれる冷静な相手を身近に持つことは重要だ。<
    YANBARU先生のこのブログこそが多くの悩める少数派にとっての身近な冷静な相手、だと思います。 

    • kei_
    • 2008年 12月 19日

    「怒り」に関しては、とてもADHD的なパートナーです。
    以前からそう感じていましたが、この記事を読んでますますそう思います。
    >全部まとめて攻撃するか、さもなくば全部まとめてひっこめて我慢するか、極端な選択になることが多い。
    ・・・ホントにこんな感じなんです、端から見ていると、、。
    >「誰に対するどのような怒りか」と一つずつ聞きながら
    ・・・それで、前にも書きましたが、「誰が不愉快だと感じているのか?」とかをひとつひとつ明らかになる毎に、冷静になっていくように見えるんです。
    なので、本人的にも怒っているうちに自分は何に腹を立てているのかが、わからなくなってきて、とにかく文句・悪口を手当たり次第に吐き出して、でもいつまでたっても怒りが消えない・・・おもしろくない!!・・という感じに見えます。
    総じて
    >「別のストレスのはけ口としての八つ当たり」
    です。
    >ひとつひとつ、こういう部分もありますか?
     と細かく分析して行って、
    ・・・もタイミングや言い方(私の)によって、地雷になり(八つ当たりの対象になる)、話がややこしくなってこじれます。
    ただ、冒頭の一行に戻ると、
    全部まとめて攻撃するか、さもなくば全部まとめてひっこめるか・・・
    の境目がどうも「飲酒」と関係があるような感じなので、アルコールによって脳が興奮し、過集中状態になっているのかもしれません。
    これなら、多数派にもあることだと思うので・・。
    アルコールによって助長されるのか、吐き出すスイッチに「お酒」が使われているのか・・。
    でもお酒が発端で・・となる場合、話はまた別だとは思いますが・・。

    • pal
    • 2008年 12月 19日

    周囲にいる同じ様なタイプの家族、親族が障壁になって、相手に自分の事を見つめ考えさせることができません。。
    指摘には耳を貸さない、いばって面倒をみたい人と、「言ってもわからないから黙ってればいい」といい、色々面倒見てもらっている人の利害が一致して固まって暮らしているので
    耳の痛い話は堂々と集団ではねのけられます。
    実際外に出れば嫌でも自分を見つめなおさないと生きていけないだろうと思っても、その解決策まで作っています。
    利用されても気づかない天然タイプか、大人しいタイプの人を配偶者にして外に出して働かせ自分はなかでいばるのです。
    (だから親族の中で外から入ったものは重い病にかかったり、精神を病んだりし、結果離婚も多い。)
    たまに外で働けば必ず自分が一番になろうとして失敗しています。
    色々おかしいと思って話してきましたが、それも相手をコントロールしようとする行為で、依存と同じだと言われ、今のところ離れることくらいしか思いつきません。
    ここの皆さんは自分をちゃんと見つめている、なのに私の前にある集団はそんなことみじんも気づかない。
    配偶者が重い病にかかって出て行っても全く気付かないで、文句をいっている。これはひとりではない怖いものなさから来るのか、それともまた違う、何歩も重症な状態なのか・・
    私はそこから一生逃げ続けるしか手がないのでしょうか。

    • neko
    • 2008年 12月 19日

    • 山本文緒
    • 2008年 12月 19日

    ※不適切な投稿であれば削除お願いします。
    私は情緒的に未熟なせいなのか、自分の怒りの感情が良くつかめません。
    「不安」「恐怖」「何も感じない」それ以外の感情は未だにピンときません。
    嫉妬や妬み、他人に対する悔しいという感情も涌きません。
    これは私の脳の構造上の問題なのかもしれないです。
    ジャイアン親の行動は、母に当てはまります。私や弟に対し、
    >「思い通りにしたい」「自分の子供として自慢したい」「子供に優位に立たれるのはむかつく」「手近に居ると八つ当たりの対象にする」
    家事を殆どしなかった母の代わりに小学生の頃から炊事や洗濯をしていましたが、上手く出来ずに殴られました。
    「お前の失敗のせいで食事時間が遅くなる」
    「殴った私の手が痛い、殴って貰って有り難いと思え。」
    これが口癖でした。
    >「AS夫の愛着を争う娘への嫉妬」であったり、「妬み」などもある。
    中学生の頃、母の目の前で父に性的虐待のような事をされました。
    (それ以前までにも色々とされていましたが、小学生~当時の私には理解できていませんでした。)
    その一件から母の私に対する態度は一転し、無視に代わりました。
    執着は一気に弟へと向かい、精神的に追い詰められたのか、弟は引きこもりました。
    母から開放された私は楽になりましたが、弟に対して申し訳なくて仕方が無かったです。
    弟が引きこもりから抜け出した去年あたりから、父がお酒を飲みだしどんどん不安定になり、先日仕事を辞めました。
    母はどんどん元気になっています。
    両親の問題が両親の元に帰って行ったという事なんでしょうか。
    私は頭の回転が悪く、物事の理解が遅いです。
    先生のホームページを知って2年近くになります。
    やっと親の暴力や言葉に対する恐怖や不安が薄れてきました。
    >こういう作業を一緒にしてくれる冷静な相手を身近に持つことは重要だ。
    私には友達も居ませんし、母の問題行動に手を焼いてきた親族の中にも冷静に対応できる人はいません。
    引きこもっている私が唯一社会と関わっている場所がここです。
    YANBARU先生のブログは本当に有り難い存在です。
    ありがとうございます。

    • いずみん
    • 2008年 12月 19日

    今回の一連のエントリを読み、つくづくと思ったのは、ADHD(ASも?)は、とにかく周囲の人間環境から情報を得る能力が低く、そのハンデを乗り越えるためには意識して「合理的な思考」を身に着けねばならないんだな、ということです。
    前回のエントリにて、Paul Carpenter先生が「多数派はどうしているのか」と尋ねておられましたが、おそらく、多数派の人々は、ちょっとしたアイコンタクトや会話における「間」から「空気」を読み取ることに何の苦労もしないのであろうと思われます。
    欧米のようにロジックが優先される風土であれば、こんなにも苦労することはないのでしょうが、日本社会において空気の読めない人間がいかに嫌われることか…
    自分も、いちおう大学院にて学問の素養を得て、資料や文献に当たる際の姿勢やロジックの組み立てについては学んだつもりでしたが、実社会に出てみれば、そこは非言語的コミュニケーションが優勢な世界、「社会人」としての作法を身につけるのに10年かかりました…

    • サエコ
    • 2008年 12月 20日

    精神科のお医者さんは、先生と同じような質問を私にしていたように思います。
    ただ、私はあまりに自分を誤魔化しすぎたのか、言っている言葉が自分の本心のものなのか、演技なのかわからないです。
    例えば、私やパートナーは過去にいろいろと辛い事があったにしろ、「でも、しっかりと大人のメリットも享受しているのだから、葛藤を抱えて行くも消化するも選択が出来る」と考えます。
    しかし、自分の子も含めた子供は、選択に制限がありますから、保護されるものであると思う。
    母親からは虐待と言われる事をされている(自覚はなく、お医者さんからの指摘です)しかし、たまに心踊る事があると、母親に産んでもらい、生かしてもらっていたから嬉しいと思える事も経験出来る、と思う。
    …本心からそう考えているのだろうか、そう考える時もあります。高機能の次男を娘と同じくらい意識に置いて欲しいと思うのは、本当に息子を思っての事なのか、子供の頃の惨めな自分を次男に投影しているだけなのか、と、考えは尽きません。

    • ひまわり
    • 2008年 12月 20日

    >もともとADHDは大雑把で「きちんと」考えることがどちらかと言えば不得手だ。
    私は、こういった自分が結構好きでした。
    何の根拠があるかは分かりませんが、血液型占いが流行ったりすると、
    A型の私は、特徴に当てはまることが少なく、
    あえて言うならB型っぽい・・・と思ったりしていました。
    これは、ただたんに占いなので、信じるとか信じないというレベルの問題ですが・・・
    私は、このブログの中で、自分を知っていく過程において、自分の過去について思い出すことになり、辛くなったりもしましたが、
    今現在の、(少し前になりますが)子どもの不登校や自傷行為などの苦しさの中から救ってもらえたり、
    過集中(いわゆる、調子に乗ってしまっている状況)の時に、(本当はとても気分はいいんですが)自分で『そろそろ、周り(本当の事)を見ないと危険だよ』と自己突っ込みができるようになり、痛い思いを最小限に止められるようになったり、
    と、気分(体調)の良い時期が多くなったように思います。
    旦那にも対する怒りもありますし、
    母親や父親に対する怒りもあります、
    しかし、ここでこうやって発達障害について考えていくと、
    旦那(AS?)にも母親にも父親にも、そして自分にもその弱さが確実にあると分かってきたので、
    『分かってもらおう』と、自分を押し付けるのは止めようと思いました。
    私の特徴として、
    >全部まとめて攻撃するか、さもなくば全部まとめてひっこめて我慢するか、極端な選択になることが多い。
    これが、当てはまりますが、今のところ「全部まとめて、自分の問題ではない」と丸捨てした、というところです。
    これは、合理的な思考でしょうか?
    『細かく調べる』作業をしたとしても、『細かく解決する』作業が苦手で、大雑把に処理してしまいます。

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