AC、人格障害関連

ADHDの適応型と経過1

 私のHPの「ジャイアンの経過」を拡張して、「ADHDの適応型と経過」という新しい経過図を考えた。

http://www.geocities.jp/yanbaru5555/ADHDteki110919.htm

 まず適応型が作られる必要性である「ADHDの脳の障害」の欄で、以前の「衝動統制の障害」(やりたいことの我慢が出来ない)に加えて、「興味のないことが出来ない」というADHDのもう一つの特性を追加した。

 「我慢が出来ない」衝動性が激しいジャイアン型の特徴に対して、ノビ太型は注意欠陥が目立つが、この注意欠陥の現実的な最大の不適応が他ならぬ「興味のないこと、嫌なことが出来ない」ということである。

 これにより「ジャイアン型」だけでなくADHD全体の適応型を考えることが出来ると考え、全体を「ADHDの適応型」にバージョンアップした。

 これは実は前記の「やっつけ終了型」の適応型を以前の6分類に追加して統合する方法を考えている経過で出てきた改良だ。
 「やっつけ終了」という適応型は実はかなりパーセンテージが多いのではないかと私は考えているが、これを編み出さなければならない事情は以前の「我慢が出来ない」ことと少し違っていた。

 縦軸も「興味のないことの行動」の欄を追加して、興味のないことをどうこなすか? についての適応型の説明を追加した。

 以前からの6類型の場合は、我慢できない衝動統制とほぼ同様の説明で、「合理的理由があるから興味のないこともする」等々の説明となっているが、「やっつけ終了型」は「表面上やっつけて早く終わらせる」というパターンで興味のないことを乗り切る適応型として説明される。  

 統合してみて表面化したのが、やっつけ終了型の「我慢」のほうはどうなっているのか? という問題で、 実はどう埋めるかまだ悩んでいるのだが、とりあえず(やりたいことを自覚しない)と記している。  

 思春期以降のやっつけ終了型の実際のケースでは、実はやりたいことを聞いても「分からない」ということが 意外にあり、これは適応型の二次的な結果であるとも想像出来る。  

 「このタイプがノビ太」という説明も考えたが、次回以降に説明する「能力特徴」などの項目を考慮すると、 このタイプはむしろ「器用である程度要領が良い」というグループなので、ノビ太とは違うだろうと考えている。

 だからむしろ「やりたいことのほうはうまくやってのけてそれほど我慢しなくて良い」ということなのかも知れない。

 やっつけ終了型は継続が要求される高校受験までに破綻することが多く、高機能で乗り切ったケースも仕事や結婚、子育てなどで「長期的視野で取り組めない」という不適応で表面化するだろう。


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コメント

    • クレス
    • 2011年 10月 02日

    こんにちは、九州に住むクレスと申します。
    こちらのHPは従前より非常に興味深く拝見させていただいております。
    特に、愛着(愛情)によるADHDとアスペルガーとの違いなど、面白いと思っています。
    あくまで自己判断で自身を分類した結果は合理的ADHDではないかと思っています。
    (度を逸する忘れ物の多さ、注意の切り替えの難しさ、人への愛情の薄さ、冷徹な程の合理主義、などから)
    不適合をある程度合理的に乗り切ってきてはいるのですが、
    未だにこの「興味のないことが出来ない」に苦しめられています。
    それがすべきだから義務だからと言われてできるくらいなら苦労しないのですが、どうしたらいいのでしょうね。
    一方で興味のあることに対する衝動は激しいです。
    寝食を忘れて没頭し、一定の成果は上げられます。
    ただし短期で、必要な時間が長期になると放置に入りがちです。
    これは上と合わせて、「興味なことしかしない」「始めておきながら放り出す」
    という問題行動になっていて、他人事のように言ってますが頭の痛い問題です。
    おかげで、能力はそれなりに高いのに成果を上げることができません。
    多分、どれもこれも齧ったままB級の人間で終わるのかと思うと一抹の寂しさはあります。
    なお、高校受験は「受験そのものに興味が向いた」&「能力的に向いていた(理屈っぽい)」のでむしろ好成績で乗り切りました。
    本格的に不適応を起こすのは、おっしゃるように、長期的な運用を必要とする仕事や家庭維持だと思います。
    なんとかそれも「やっつけ」でやってはいますが、注意深くその程度で済む職場を選んでいなければ難しかったと思います。
    「やっつけ」は、要はぎりぎりになって切迫感が出た時のアドレナリンを使用して「やる気」を出す。つまり「興味がないことへ注意を向ける」ことでおこないます。
    不幸なことに、それで乗り切れてしまうと切迫感が薄れ、薄れるとアドレナリンが出なくなるので、深刻になってきます。というか、深刻です。
    すでに、多少のことでは動揺しない精神状態なので…。
    外部薬物の力を借りるべきなんでしょうか?
    なんとかやれてしまってるので、多くを望まなければこのままでもいいと思うと判断がつきません。

    • いさお
    • 2011年 10月 03日

    最近このサイトを知り、興味深く拝見させて頂いております。
    そういう事だったのか!
    私だけじゃなかった!
    などなど、新しい発見でいっぱいです。
    ちょっとずつパズルが繋がってまいりました。
    もう少し前に、、出来るなら学生時代に知っておきたかったですが、
    今からでも遅くないと信じて頑張ります
    先生や皆様のコメントに助けられてます。

    • nao
    • 2011年 10月 12日

    ★It’s Me!★
    まさしくワタクシの事でございます。。
    高校3年時に先を考えること、やるべきこと、など全くわからなく、つまづきつつもなんとなーく生きています。
    やりたいことはたくさんあるけど人生をかけてやりたいことが未だに掴めず仕舞いです。
    こちらで2~3年勉強中ですが、灰色を目指すも夫から見るといまだに白黒人間とのこと。
    習性はなかなか修正難しいと日々実感中です。

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