ADHD関連

コーチング②ADHDの言語表現

自己コーチングガイド各論② ADHDの自己理解そのC (言葉表現の特徴を理解する)

C.ADHD特有の言語表現の特徴を理解する。

 多数派はコミュニケーションの場において、他者の表情や口ぶりなどの非言語的情報から「状況」を直感的に察知し、言語的情報はむしろ表面的で、しばしば本心と異なる「建て前」という形で現れる。

  これに対しADHDは、非言語的な直感的状況察知は出来ないため、言語的な情報のみで意志を伝えようとする。簡単に言えば「本当のことしか言わない」のだが、このために多数派から見ると奇異と映るいくつかの特徴が現れる。

 例えば「馬鹿正直」、「冗談や遠まわしな表現が通じない」、「ズバズバ言い過ぎる」等の多数派と異なる言語表現上の特徴を呈し、そのための反発やマイナスの評価を受けることも多い。これは多数派からみると、「自分が不利になることを計算もしないで本当のことを言ってしまう」、「状況から考えればまじめに受け取るべきではなく冗談と分かるはずなのに」、「ここは相手の感情を害さないためとか場の雰囲気から孤立しないために不明確な言い方をすべきなのに」ということになる。

 あなたの生活で上記の説明に当てはまることがありますか? 具体的に書き出してみましょう。

 この言語表現のスタイルの違いがあるので、多数派とのコミュニケーションに行き違いが起こることはむしろ当然で、この行き違いを予防するためには、相互の理解が必要である。

 ADHDの側から出来ることは、状況理解の項でも説明したが、「状況理解に疎い天然ボケというイメージで理解してもらい、状況理解を当たり前に要求されないようにする」、「なるべく重要なコミュニケーションを一対一の形で行うようにする」という実践的な方法とともに、多数派のコミュニケーションの特徴を観察し、理解することが重要となる。

 中でも、「多数派の言葉は見えない状況理解の情報を追加して理解しないと、言葉通りでは理解できない」ということを理解しておくことは最も重要である。

 特に「遠まわしな表現」と呼ばれる表現には、過去の人生の中で、「うまく受け取れなかったために後からマイナスの評価をされた」という体験を伴っていることが多く、そのせいで過剰に反応して「振り回されて」しまうパターンとなっているADHDのACの人も多い。

 だから、「言葉通り受け取らないほうが良いこともある」、「言葉通り受け取ると誤解になることがある」、「そのまま受けとて良いかどうか不安なときは、信頼できるサポート者に聞いてみるか、断定しないで置くほうが無難である」ということになる。   

 上に書き入れたあなたの困難さに対して、上記の工夫を具体的に考えてみて書き入れてみましょう


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コメント

    • ミリ
    • 2006年 11月 13日

    考えが浮かんだ時に、その言いたい衝動を止められない場合がしばしばあります。
    他人のことでは、「これは、言ったら、もしかしたら、相手の人は、不愉快になるかもしれない」
    自分のことでは、「こんな恥ずかしいことは、言わない方が、じぶんのためだ」という思いが、ちらっとかすめても、その思いを抑え付けて、言ってしまうこともあります。
    他人のことでは、気を回しすぎ、考えすぎて、無駄なこと、役にも立たないこと、大きなお世話的なことを言うこともしばしばあります。
    言わなくてもいいことを言ってしまうことに関しては、
    ・人からアドバイスを求められる時は、聞いてみる。そして、「やめたほうが良い」という忠告を受けたら、言わない。を守ろうと思います。
    また、これは、他人の領域だな、自分がわざわざ言わなくても(しなくても)と思えたら、干渉しない(今まで、変な所で干渉しすぎていたように思います)
    >「状況理解に疎い天然ボケというイメージで理解してもらい、状況理解を当たり前に要求されないようにする」
    ここの所ですが、「状況理解できない奴だ」というイメージは、結構多くの人に、伝わってしまっているようですが、その結果、
    「本当に困った奴だ」「役に立たない」「話が通じなくて、仕事が進まない」「だめな奴」と見られていて、
    許されて理解されている状況ではないです。
    対策としては、
    ・周囲の観察を、意識して、注意深くしていく。
    ・他から注意されたり、怒らせてしまった時は、後で、その原因を良く考え、わからなかったら、親しい人に聞いてみる(こういうことがあったが、どう思うか?)
    原因がわかれば、同じことを繰り返さないためには、どうするか考える。
    >「多数派の言葉は見えない状況理解の情報を追加して理解しないと、言葉通りでは理解できない」ということを理解しておくことは最も重要である
    この部分ですが、私自身が、私に対して、自分の能力を超えたものを高望みしていて、そして、できない自分に失望しているなと思い当たりました。
    自分は、状況理解が不得手であるということを、自分自身が受け入れなければならない、他の人に理解を求める前に、まず、自分が自分自身を受けとめて、理解しなければならないと思いました。

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