AC、人格障害関連

外来予約について


 私は平成16年兼城医院以来、発達障害の外来は全て「完全予約制」で続けてきた。それはもともと人格障害をケアすることに力を入れてきた結果でもあるが、「治療の枠組み」を大事にするからだ。

 「人格障害」の場合、(実は発達障害の場合でも全く同じだが)、「依存性」が一番重要な治療対象となることが多い。
 アルコール、薬物、喫煙などへの依存の他、過食嘔吐、リストカットなども依存行動になることがある。
 これらと並び、「恋愛依存」と呼ばれる異性関係への依存も治療するべき病態のひとつで、依存性の強い人はこれらの依存の間を移り行くことを続ける。

 「主治医と担当患者」という関係も、当たり前に依存となりやすく、例えば「主治医が代わった途端に状態が元に戻った」という現象が起これば、これは「主治医に依存して安定していただけ」ということの可能性を考えるべきである。

 例えば「今不安だから今日急遽診察をお願いします」という診察希望に対応したとする。その結果はその人は不安になる度に毎回診察に来院することになるだろう。
 実際電話もしないで何度も繰り返し突然来院したりする人も居るのだが、そういう場合は私は手の空いているスタッフに簡単に話を聞いてもらうだけで私は対応しない(予約でほとんど全部の時間が埋まっているので実際対応できないのだが)ことにしている。

 電話も同様だ。私が電話に対応するとなれば、100名以上の方から不安になる度に時間関係なく電話に対応する結果になる。これではカウンセリングは成り立たない。
 
 人によっては「一ヶ月に一回しか診察はしない、臨床心理士のカウンセリングも一回までで、臨時では決して追加しない」という枠組みを厳しく作って、半年以上してやっといきなり来院することを本人がコントロールする努力が見られるようになったこともある。
 私がケアしている人には、この「突然受診することを繰り返す」だけで他の医療機関から事実上「追放」されてきた人も実際多い。
  
 本人は「今不安で何とかして欲しい」と言っている。わざわざ来院した人にも、「予約外だから対応出来ない」と断るのはいかにも不親切であるが、長期的に本人が自分をコントロールできるようになるためには、この「枠組み」がどうしても必要なのだ。

 逆に「親切」に緊急受診に最初の数度対応したとする。人格障害、発達障害の場合は、「何時行っても毎回必ず対応してくれる」と受け取る結果になり、次にいきなり受診して「手が離せない」などと断られると、逆切れしてクリニックや医療関係者を攻撃することが多い。(私の場合も自殺すると言って脅すなどのケースも数名居たが、私は何とか上記の枠組みで乗り切って治療を継続している)。
 私はこの形で医療機関が対応出来なくなり、結局「追放」になっているケースは実際多いと思う。
 親切が完全に仇となるのだ。
 
 ジャイアンの乳幼児の場合も全く同じことが言える。祖父母など、関わる誰かが例外的にジャイアン児本人の要求を飲めば、ジャイアン児は「自分で我慢しなくて良い」と学習し、その飲んでくれる相手を徹底的にコントロールすることにエネルギーを集中する。
 大泣きして強情を張ったり、病的症状を出したり、時には大人が困る自傷行為(後ろに倒れて頭をぶつける等)様のかんしゃくまで使う。意図的でなくてもそういうパターンが出来上がるのだ。

 私が予約を簡単に受けない理由は上記のような事情にある。逆に言えばそういう人を治療の対称にして、長期的にケアしていく体制にしている。

 というわけで、まるクリニックへの予約は以下の通り。
①現在ノーブルメディカルセンター通院中の人は同様に継続の予約。
②兼城医院以来のいくつかの医療機関からしばらく振りに来院する場合、すでに「あおぞらクリニック時点での通院者のうち予約OK」のリストを私からまるクリニック担当者に送ってあるが、そのリストからも漏れている人はクリニック担当者から私に名前を伝えてもらい確認してもらう。
③「予約不可」の人は直接私にメールなどで受診したい理由を説明してもらい、受診を受ける場合には再度「治療契約」を作り直して、それが守れる範囲内で治療を継続する話がまとまった人のみ、予約を受ける。
④全くの新患の人は、先にメール相談で相談したいことの概要を伝えてもらい。私が直接予約を指示する。

 表面上は非常に「不親切」ではありますが、「衝動統制の障害」と、「依存性が非常に激しい」人たちを治療するにはどうしてもこういう枠踏みが必要であることにご理解をお願いいたします。


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コメント

    • ちひろ
    • 2011年 2月 06日

    自分でもわかっていたんです。
    「不安やうつから逃げるためにコメント書いてるね」って。
    人の迷惑顧みず、電話する甘ったれた患者です。(しかもタダでっ!!)
    環境調整も成功し、自分自身もおよそ把握できたのだから、先生に相談することなんて、もうなくなったのに・・。
    『コメント書くな』
    この処方箋をもらったと思って、がんばってみます。
    それでどうしてもダメになったら、次はちゃんとメール相談します。
    ・・・
    本当にこの場所に感謝しています。
    本当にありがとうございました。

    • 受診相談
    • 2011年 2月 07日

    はじめまして、こんにちは。
    先月、沖縄市のファミリーメンタルクリニックで、大人の発達障害に詳しいということで先生の紹介を受けました。
    先日、ノーブル病院で新規予約はメールかFAXでと伺ったので、家族のことで一度先生に相談させいただきたく、メールさせていただきました。
    こちらの勝手な質問からですみませんが、相談内容は先生が確認した後、削除することも可能でしょうか? 
    相談していることが何らかのかたちで本人に知られてしまうと困るので、削除不可であれば相談内容をどの程度まで細かく書くべきなのか悩みます。
    どういったかたちで相談メールを送ったらいいでしょうか?

    • うにゃ
    • 2011年 2月 19日

    いま精神状態がどん底です。
    職場で、新たな「お姫様症候群」に敵認識されてしまいました。
    家庭では、母が「同居の枠組み」を破り続けています。
    守らなければ別居だと迫ったら、裁判所に調停を申し込むなどど言い出しました。
    こちらの社会生活をめちゃめちゃにしようが構わずに全力で振り回す意思表示です。
    もう一緒に住みたくありません。
    いや、一緒に暮らしたいと思っていません。ずっと。
    ただ、別居するとき、した後に、母の行動化は、私の想像を超える最悪の場合もあることを覚悟しなければならないとおもいます。
    結局、私は自分の人生を守れるのか?
    母に「同居の枠組み」を守らせるための罰則として最も効き目があるのは、
    「守らなければ私が死ぬ」ですが、これでは本末転倒です。

    • 匿名希望
    • 2011年 5月 28日

    初めまして。
    コメント読んで頂けるかわかりませんがこちらにて相談させてください。
    10歳上の彼の、余りに度が過ぎる精神的暴力や肉体的暴力にDVかと思ったのですが、彼は本当に他者の感情が理解できず自分の言葉で相手がどう思うか想像できません。想像より前に『俺は、俺は、』と主張ばかりで会話になりません。他にも色々ありますが、ASではないかと疑っています。
    が、本人に治したい意思や自覚がない場合、診断は無理でしょうか。ASの人は自ら診察に訪れるものなのでしょうか?

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