AC、人格障害関連

ジャイアンの成育①基本特徴と能力

 ジャイアンは誕生と同時に、「周囲の人間が自分に関心を持っているかどうかを見分ける能力」を持っている。これを「非言語的状況察知能力」と呼ぼう。また環境によっては合理的な時に「屁理屈」になるような徹底した理屈を言う能力も持っている。これを「超合理的思考能力」と呼ぼう。

  もうひとつ、その特有の精神的な不安定さから、「形のあるものの中での一番になる、優位に立つ」か、「自分が一番注目される」かを強迫的に(死に物狂いに)求める傾向を持っている。これを「中心志向」と呼ぼう。

  これがジャイアンの乳幼児の出発点だ。この3つのポイントはすべてのジャイアンに共通している。

  ただこの段階で、(言語的、動作性IQに部分的に関係する)「言語的、非言語的な受信と発信の能力の多寡」という個人差が存在する。この段階で、「能力」というファクターで、全ジャイアンは、非言語的に「器用なジャイアン」と「不器用なジャイアン」に分かれる。

  たとえば非言語的に器用なジャイアンは、後に「依存型ジャイアン」として、徹底的に場当たり的に主に非言語的に周囲の空気を読みながら、周囲に合わせて、自分も非言語的な能力をフルに活用して、「その場だけで表面的に乗り切り続けながら生きる」という形に成長しうる可能性を持つ。逆に非言語的に不器用なジャイアンはこの形で成長することが能力的に不可能となる。

  他方、もちろん「合理的思考も得意でなく非言語的にも不器用」という場合も考えられ、能力の面では、A1「言語的非言語的器用」、A2「言語的器用非言語的不器用」A3「言語的不器用非言語的器用」、A4「言語的非言語的不器用」の4つのパターンが考えられることになる。

  さてジャイアンの成育の根本特徴は、実はこの二つの能力、「非言語的状況察知能力」と「超合理的思考能力」がうまく調整されないで、「どちらか一方が突出する形で成育する」ということにある。

  この原因は「中心志向からくる強迫性」であると私は考える。即ち、いずれにしてもジャイアンは「確実に(一番の優位もしくは自分が中心という)結果をゲットしなければならない」という中心志向の強迫性を持つために、多数派のように「周囲とのバランスで適度に非言語的に適度に合理的に」生きていく選択肢が最初から無いのだ。


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コメント

    • pal
    • 2009年 2月 23日

    多数派への適合は、A1なら場を選んで屁理屈いうので知的な変わり者扱いでOK、言語の扱いに少しでも難があると見なされればA2扱い、A3なら多数派に全く害を及ぼさないので問題なくOK、A4は本人ががまんすればいじられキャラとして存在を認められ、でも本人ががまんできなければ鬱になる、A2は文句も言うし場も読めないので全く許容されない、また本人ががまんできなければ鬱になる、という感じに理解したのですがそれでよろしいのでしょうか。
    ということでしたら、育てやすいのはダントツでA3、それからある意味A4でしょうか。
    そして、もろ刃の剣でもあるが高い能力で利点でもある言語的器用を生かせと教育するのは、非言語器用さを持った子供に限定したほうが安全で、A2の場を読めない子供の場合は言語能力を控えるようにしたほうが、A4に近くなり生きやすくなるのか。でも中心志向がある限り、その状態に長く耐えられるとは考えられないし、中心志向からくる強迫性というものがあるなら、A4は必ず鬱になるということですよね。ということはA2は多数派との接触が少ない場を与えることを考えたほうがいいのか。それとも他の方法を考えたほうがいいのか。またA3は問題が地下で増殖し大人になってからの破たんにつながるような気もするが、問題がない以上注意の使用もなさそうだが放っておいてよいのか。。。
    また、中心志向そのものは他人より優れた能力を持っている場合うまく生かせるが、特に優れた能力を持たず他人より上に立ちたいという気持ちのみ持っている場合、どのように対処していったらよいのか。
    糖尿病や摂食障害、睡眠障害、免疫異常など体に自慢要素とは言えないものを抱えている場合も本当に多いのだが、そういう場合はなおさら、他人を負かすほどの能力がない時、何を持って中心志向を満たしてあげられるのだろうか。

    • 匿名
    • 2009年 2月 23日

    pal様
     コメントありがとうございます。
     非常に大事なポイントですが、「多数派と同じになる意味での適応」は、残念ながらどのタイプも不可能で、無理にこの意味での適応を図るとほぼ必発で病気になると私は考えています。
     従って多数派への適応は「思春期以降に本人が必要と考えれば」考えるべきで、学童期には適切な診断と支援により親や教育者はもちろん、二次障害を予防するために主に多数派のほうに理解の努力をしてもらうしかないと思います。
     また現実問題として、最初のインストールが起こる幼少期に接する主な環境は「親を中心とした家族」というイメージでこの議論を展開しています。
     また、A3のケースは「その場だけ表面的に読んでいる」だけで、「一貫性が無い」ことはすぐにばれますから、多数派には簡単に見破られ、「問題が無い」ことは不可能です。
     「バランスを欠く」ことが根本的な問題であるということです。

    • ぴよよ
    • 2009年 2月 23日

    はっきり書いて頂くととても分かりやすいです。
    特に先生のコメント部分は早急にもっと広まってほしいです。
    懇談とか、こういう情報を根拠にしてできる時代が早くきて欲しいです。
    根拠無く日々の主観で支援を断定するような言い方…可愛い表情をしたからといってすぐ許すのは我慢して…○○が反省から逃げる手段になっている…を言うなんて…指導事例も積んでいないくせにそんな恐ろしいことはまだ出来ません。
    でも具体的な手がかりが欲しいことは私も保護者も同じなのです。
    そういう大人達の迷いに付け入る能力を持っているのも、こういう子達なのかもしれません。
    二つ先の記事まで読ませて頂きましたが、発達障害の子どもは、適応か支援かの進路を自分で決められるまでは、学校とは別にもう一つの支援場所もあるのが望ましいと、改めて思います。
    たらい回しの逆で、一カ所で受け入れきれないことは何カ所もで問題を一緒に考えて支援してあげたいし、子ども当人にとっても、複数の視点から意見が聞けることで、柔軟な思考回路を作れる可能性が出てきます。仮に一カ所の大人を振り回すことに成功したとしても、他できちんとストップをかけられれば直面化への近道になるでしょうし、大人同士の連携で振り回しの要素にもストップをかけられれば、特定の大人が子どものスケープゴートになるような、悪い成功体験も断ち切れるはずです。
    その大人達もまだ、連携への道のりが険しいケースが一部あるのですが…。年々その一部が膨らんでいるように感じるのはなぜでしょう。
    それなりに最善を尽くしてる…つもりなのですがね…。

    • pal
    • 2009年 2月 24日

    教えていただきまして、やはりどこかで教え込めば適応が少しでも可能になると思い込んでいたことに気づかされました。
    色々考えてみましたが、どのパターンでも、基本は自分が一番になる願望が根底にあるのだから、適応の仕方を刷り込もうとしたり、糖分摂取、睡眠時間、摂食異常などもこれを治せば多数派に近い生活に近づけると思っていましたが、逆だったのかな?と思い始めました。
    根本の中心志向を満足な状態にしてあげない限りだめなのじゃないか。それさえクリアすれば、摂食睡眠異常も芋づる式にあっという間にある程度は解決していくのではないかという気がしてきました。
    しかし、問題なのは一番でないと、自信がもてない。他人に勝たないと満足しない。
    それほど自分の一番志向を満足させられる対象を幼児のうちから見つけてあげることは、至難の業な気がします。
    勘もするどいから適当なものでごまかそうとしてもすぐ見破られてしまうし、とりあえず満足してものちに自己突込みが生じるでしょうし。
    自信のなさから心が弱ってきても、問題は自分が素晴らしい要因を持てるか否かだからカウンセリングは無意味だと考えていたりします。(ある意味その通りな気もするし、上手にいいわけして不安な事を避けてるだけな気もしますが)
    自分のそばをみると、自分なりの自信を持つことができず、いつも他人を負かしたいという思考パターンしかない、その解決として、力のない者、弱い者とだけつきあい、とりあえずの優越感で自分を満たし、そしてよくわからない不満足感にさいなまれる、そんなA2やA3の人達が固まって生きています。
    これは合理的な解決法にも見えますが、どこか皆不満足感を持ち、だから常に不安で、攻撃的で、多数派とうまくいっていると自負しているものの、そうは見えない状態です。
    どうしたらよい形で自信をもってくれるのでしょう。
    ただ多数派がスルーしてくれる様、多数派をむやみに刺激したり攻撃して自分の優位を示したがったりしないように言い続ける事だけは必要な気がしますが。

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