6.ADHDのACでないことを確認する

自分で「境界例」や「AC(アダルトチルドレン)」と言ってクリニックを訪れる人の多くはADHDのACであると私は考える。

 

ADHDの二次障害によって、自己評価が低下し、「自分は人格障害だ」「変わらなければならない」と一生懸命に訴えるが、

客観的には深刻味に欠け、訴えるほど対人緊張が見られず、また人格障害特有の人を振り回すずる賢さなどを感じさせない。

多くは「考えすぎ」等と言われて相手にされずがっかりして通院をやめることになる。

 

 ADHDは状況が分からない障害で、境界例やACは状況認知に非常に敏感であり、本来ADHDはACにはなりようが無い。

しかし主観的には、本人の体験としては、見捨てられ不安や人と自分の問題の境目が分からないなどの境界例やACの特徴を備え、「本人の感じている形としては境界例やACそのもの」ということになる。

 

 上の特徴のために、本人の訴えは非常に理解しにくいものとなり、

「何を言っているか分からない困った患者」ということになっていることが多いと想像する。

 

 そういうケースはまずADHDを疑って欲しい。片付けや、物を捨てられない、状況が分からない、正直すぎる、言葉を何でも真に受ける等の特徴を注意深く聞くと、ACで人に合わせようと努力しているために 典型的なADHDに見えないことも多いが、ADHDであることが分かる。

 


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